ニューヨーク、ブルックリンの小さな煙草屋を舞台に繰り広げられる人間模様を、それぞれの真実と嘘、現在と過去を交錯させながら描いた群像ドラマ。現代アメリカを代表する作家ポール・オースターの短編「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を原作にオースター自らが脚本を手がけ、「ジョイ・ラック・クラブ」のウェイン・ワン監督がメガホンをとった。ブルックリンの片隅で煙草屋を営むオーギーは10年以上にわたり、毎日同じ場所で同じ時刻に写真を撮影している。煙草屋の常連客である作家ポールは、数年前に妻を亡くして以来、スランプに陥っていた。ある日、ポールは路上で車にひかれそうになったところをラシードという少年に助けられ、彼を2晩ほど自宅に泊めてあげることに。その数日後、ポールの前にラシードの叔母だという女性が現われ……。店主オーギー役を「レザボア・ドッグス」のハーベイ・カイテル、常連客ポール役を「蜘蛛女のキス」のウィリアム・ハートがそれぞれ好演。第45回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)を受賞し、日本でもロングランヒットを記録した。2016年12月、デジタルリマスター版でリバイバル公開。
スモーク評論(20)
やっぱりカッコいいなぁー。
当時この映画をきっかけに、ハーヴェイ・カイテル出演作を片っ端から観た覚えがあります。
私は完全な嫌煙家で、身体に悪くて他人に迷惑かけるタバコを高い税金払って吸う考えが全く理解できない!と思っているのですが、この映画を観ていると、タバコ選びや吸い方にも個性があってカッコいいなぁ、と、生まれ変わったら愛煙家もいいなぁ、と思えてくるから不思議です。
それくらいカッコいい。
ポールが細くて茶色いタバコを吸う前に何度か舐める仕草とか、冒頭の煙の重さを計る逸話も。なんというか…粋なんです。いちいち洒落てる。クリスマスの話も。
しかし話しているオーギーの口元にぐんぐん寄っていくカメラワークはなんなんだろう?
それとエンディング、昔話がモノクロで再現され始めた時、正直、え、やめて!見たくない!イマジネーションだけでいいし!(オーギーも老けてるし笑)と思いましたけど、見終わる頃にはすっかり抵抗もなくなっていました。
死ぬまでに、まだまだ何回も観る映画だと思います。
パッケージのシーンがこんなラストに来るとは。
一人一人が主役で、一人一人にしっかりストーリーがあるけど、みんな繋がりを持っていて、なんだか不思議な感じの映画でした。
ささいな人々の日常生活を淡々と描いた作品でしたので、好き嫌いが分かれる作品ではないかなと思いました。
好きな人は好きだと思います。私は苦手でした。
どうしてこんなに評価が高いのだろうと思いました。
公開は1995年、20年を経てリマスター版での上映。
当時では異例のロングランだったのをよく覚えています。
それにしても、クリスマス時期でのリバイバル上映なのが何ともニクいですね。
タイトルにあるように作中ではタバコを実に印象的に使います。
公開当時の自分はタバコを吸っていて、その頃の事が懐かしくなりました。
物語はブルックリンの片隅のありふれた日常を描いた、しかしとても暖かい群像劇。
主演のハーヴェイカイテルは、脂ののったとても良い演技を魅せてくれます。
派手な演出があるわけで無く実にシンプルな作りなのですが、何故かとても味わい深いのです。
その煙のように漂う日々の時間、そこには大切な物で溢れているんですね。
そんな事に気付かせてくれる、とても大好きな作品です。
じんわりと心に響く大人映画。
ストンと身に染みて、心が温かくなります。
が、これが心に響くような年齢になったのか、と。笑
若かったら早送りしちゃいそう(笑)
実生活では煙草って苦手だけど、
映画とか舞台ではぐっときてしまうのも不思議。