「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル
侍女の物語」のエリザベス・モス。
透明人間評論(20)
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まぁ透明人間なんで基本目には見えないからホラーが苦手な私でも大丈夫だった。でも音響の効果で何の変哲もないただの空間がここまで怖くなるのはすごい。音なかったらめっちゃつまらない映画な気がする(笑).
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これは映画を沢山見てる人ほど疑ってしまうことだと思うんだけど、主人公が心神喪失して透明人間がいると思いこんでいるのか、本当に透明人間が存在しているのか、観客には判断がつかないんだよね。コーヒーの粉を人の家にばらまく所とか、頭おかしい人がやることだし(笑)
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でもこの主人公が心神喪失してるのではという疑いは、女性だと何か意見を主張しても頭がおかしいとかヒステリーになってるだけだとかまともに取り合って貰えないことを表してるらしい。
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私も頭がおかしいとまでは言われないけど、男の人と話してて考えすぎとか言われることは良くある。でもそれってこっちの立場をあんまり考えてくれてない気がするんだよね〜女同士だったら共感能力が高いからある程度分かってはくれるんだが。
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女が狂っているのか、男の共感能力が低すぎるのか、永遠の命題ですな。とまぁ、こんなように人間が怖い系のホラーです。
その件で「彼は不倫SEXがしたかったのではなく、女性を支配したかった。」と論じていたブログがあり、とても納得ができた。
なぜなら、ホテルでゆっくりと愉しむこともできたはずなのに、トイレという場で、短時間で済ませる、つまり、(相手の同意があったとしても)女性の人格を無視し、辱め、そして『支配』することが目的の行為であり、これは、痴漢とか、パワハラ、セクハラと類似の行為。
目的は性的快感じゃない。
別の話。
ネットで「アフターピルの是非」が議論になった。つまり、レイプや避妊の失敗の際、処方箋なしでアフターピルを買えるようにすべきか否か、という議論。
私は「選択肢が増えるので反対する理由はない。」と賛成だが、反対がビックリするほど多かった。
理由は「安易な性行為が増えて、貞操が乱れる」等だった。
でもこの理由はおかしい。
同じ理由でコンドームを否定してないのに、アフターピルに反対するのはおかしい。
本当の反対理由は、「妊娠の主導権(決定権)を女性に奪われることに反対」だろう。
つまり、避妊方法がコンドームだけであれば、男性側に主導権がある。妊娠させたくないのであれば、使用するし、そうでなければ使用しない。
ネットに限らず、法廷でも議論になる「選択式男女別姓」について。
私は「選択肢が増えることは賛成」
しかし、主に保守派では「家族観が崩壊する」「子供の名字が‥」として反対する意見が圧倒的に多い。
保守派がいくら否定しても、現状は(実質的に)女性に男性側の姓に変更を求める制度である。女性側に自己決定権・対等・平等は認めないぞ、という。
で、本作。
「透明人間」と言いながらも、主題は「DV・支配欲」であり、「男女平等」である。
「男女平等」は現代では当たり前、と思うだろうが、上記のアフターピルも選択式男女別姓にしても、男女平等を認めない勢力は強い。特に日本では。
件の芸人にしても、アフターピルや選択式男女別姓に反対するヒトは、(本人は認めないだろうが)、本作の悪役と同類である。
(特に、作品中に、主人公が使用していた避妊薬をすり替えて、妊娠させていた。それも「子供が欲しい」ではなく、相手を「支配」する「手段」として、相手を「逃さないため」の手段としての「子供」を求めた。このことからも、『同類』というのは明白である。)
見えないものほど、恐ろしいものはない。個人的には透明人間といえば『インビジブル』と『インビジブル2』なんだけど、観客にはずっと見えてたし、観てるこっちが恐ろしいというのは、なかなかすごい。
最後まで観てても「あの博士」は出てこなくて、本当にダーク・ユニバースは亡きものにされたんだなと。エリザベス・モスというのが渋い。これがジョニー・デップだったら、絶対万人受け狙ってこけてたから、むしろ『ザ・マミー』があったからこそ逆説的に生まれた良作だったかも。
何度も訪れる絶望的な状況に、結末が読めない展開が続きますが、最後はスッキリ。
やっぱり映画は良いです☆