フェデリコ・フェリーニが自身の故郷リミニを思わせる地方都市を舞台に、いい加減な生活を送る5人の青年たちの彷徨と旅立ちを描いた作品。北イタリアの小さな港町で、定職にも就かず自堕落な日々を過ごす5人の仲間たち。女好きのファウストは友人モラルドの妹サンドラを妊娠させ、仕方なく結婚することに。女中にうつつを抜かす劇作家志望のレオポルド、姉に小遣いをせびるアルベルト、歌だけが取り柄のリカルドら、相変わらず無為な日常を続ける彼らだったが、モラルドだけは現状からの脱却を考えていた。フェリーニの自伝的要素の濃い作品として知られ、第14回ベネチア国際映画祭でサン・マルコ銀獅子賞を受賞。日本では1959年に初公開。フェリーニ生誕100年を記念した「生誕100年フェデリコ・フェリーニ映画祭」(2020年7月31日~8月20日=東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか)で4Kデジタルリマスター版が上映。
青春群像評論(6)
人は一面だけの存在でなくたくさんのカラーを持っている
フェリーニは映画というプリズムに青春時代を通すことで、5つの青春群像に光を分光して観せてくれた
5人の行動は青春時代に誰しも心当たりが有ることばかりだろう
ファウストの行動など映画的な誇張はあったとしても男なら誰もが何かしらの経験者のはず
30歳にもなって実家住まいで職もなく、働いてもろくに続かない、今で言うところのニートそのものだろう
大人になりきれない大人
早朝3時に駅に仕事に向かう10歳位の少年が一番大人だ
そんな彼らもようやく大人になろろうとしている
早朝列車に乗るモラルドに5つのスペクトラムは大人の顔になったモラルドに再び集まり汽車に乗って大人の世界に走りさるのだ
長すぎた青春時代は終わった
いやしがみついていただけだ
赤ちゃんを抱いたサンドラを連れ帰るファウストはお父さんの顔になっている
ナレーションのとおり他の3人も大人になるのだ
モラトリアムから目覚め大人になるその過程
フェリーニはこの変化の過程を見事にフィルムに焼き付けてみせたのだ
さすがの手腕という他ない