黒澤監督初のシネスコープ作品。戦国時代、敗軍の大将真壁六郎太が、世継ぎの雪姫と隠し置いた黄金200貫とともに敵陣を突破し、同盟軍の陣内へ逃亡するまでの脱出劇。難関につぐ難関、次々とと襲い来る絶体絶命の危機を間一髪で切り抜けるアイデアの数々は、黒澤ほか三人の脚本家により練り上げられたもの。また、六郎太一行に付き添う狂言回しのごとき百姓コンビが、後に「スターウォーズ」の『C-3PO』、『R2-D2』の原案になった逸話はあまりにも有名。スリルとサスペンスとユーモアにあふれた、痛快娯楽時代劇の傑作巨編。
隠し砦の三悪人評論(20)
姫の台詞であったように、「装わぬ人の世を、人の美しさを、人の醜さを、この目でしかと見た」、そんな映画だった。
金をどこに隠したか、という小手先のプロットで驚かすよりも、練りに練った脚本、そして田所兵衛(藤田進)との槍決戦シーンや真壁(三船)の本物の流鏑馬よりも迫力ある馬上の殺陣。ごまかしが一切ない映像力だった。
リメイクでは田所兵衛のゲイネタとも思えるやりとりが逆に面白かったけど、全体的に面白さは互角。「裏切り御免」と捨て台詞を吐く田所のシーンが気持ち良かった。
千秋実と藤原釜足の百姓コンビがSTAR WARSを生み出し、藤田進の名台詞に当時映画館で拍手が巻き起こった。
熱い時代の熱い映画だ。