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太陽の王子 ホルスの大冒険評論(14)
ジブリの原点、高畑宮﨑の青春
演出(監督)
高畑勲
作画監督
大塚康生
原画
森康二
宮崎駿
大田朱美
小田部羊一
奥山玲子
とある。
2019年前期の朝ドラ「なつぞら」関連で故高畑勲がこんなにフィーチャーされるとは知らなかったが、ドラマを見ていてこの映画に相当する作品を知らずにいるのも気持ち悪いのでiTunesで見てみました。82分でほどよい長さ。作画は美しい。二度ほど、動画をあきらめて静止画で勝負していた部分もあったが、そういう部分も含めて傑作だと思う。
「なつぞら」ファンなら必見。もし子供時分に見た覚えがある人ならかならず再発見があると思う。
ジブリの原点があるように思う。単純だが運がいいヒーローホルス。
冒頭のオオカミたちとホルスの闘い、巨大岩男や氷漬けマンモスの登場、いまとなって見ればなんだかチープな悪魔の造形、悪魔の妹だというヒルダの複雑な感情、村長やヒルダを操ろうとするドラーゴやふくろう。←こいつらが一番たちが悪い。
話はそれほど複雑ではないが、もしこれが小学生向けならばやや退屈なのかもしれない。ヒルダの立ち位置が難しいからだ。ラスト、ヒルダが蘇ったのは悪魔が死んで魔力がとけたからだろう。
高畑先生は作品を作ろうとしすぎたね。戦闘シーンをもっと入れて子どものころの俺が喜ぶ映画w作って欲しかった。
奥から手前にくる人物をパンで捉える演出がよく生きている。とくにアクションシーンで。これは既に宮崎駿の演出が入っているんじゃなかろうか?銀色狼が剣で斬られるショットなんか才能を感じるな。
村落における対立構図に迷う主人公ホルス。移ろいやすい世論と如何に個人として対峙するか。武器をとって戦う意味とは何かなどと、そのテーマ設定はかなり挑戦的である。そして子供向けアニメとしては挑戦的なキャラクター、ヒルダ。柔和、冷酷、恐怖、邪悪と実に細かく顔に出る。話全体のバランスとしては、少し突出しすぎた感すら残った。
結局、また観てみたいと言うだけで借りてしまった。
東映マンガ祭りのシリーズの筈だが、全編が動くアニメでなかった。
狼が村を襲うシーンで欲深い村長が反撃する村人のジャマになるシーンが静止した絵になってて、時間なかったのかな?とふと思ったが、他にも何ヵ所あったので当時は普通だったのかも。
ホルスはまさにヒーロー像を地でいく感じ。安易に騙されて、村人にも裏切られたりする。
ヒルダのアルカイックスマイルは市原悦子さんがよく似合っていると思う。村を襲う悪魔の妹と言う複雑な立場の切なさは今時のアニメキャラにも負けない雰囲気がある。アイヌ民族的な格好を見ると北国感も増す。
村人も個性的で短いストーリーの中に利己的な人間や協力的な人間が登場し、ホルスの立場、評判があっさり翻ったりする。
当時の子どもたちがどんな風に劇場で観たのか?実際の反応を見てみたい所だ。
物語は現代の感覚で見るとやはりベタな展開で懐古的に捉えがちだが、当時でもこの展開はスタンダードだったと思う。
汚れた大人になった私はホルスが下着を着けてない事が気になった。