連合赤軍事件の映画化に挑む、スタッフとキャストたちの姿を描いた青春群像劇。監督は「大いなる完」の高橋伴明。立松和平の同名小説を下敷きに、『江戸むらさき特急』の青島武が脚本を執筆。撮影を「降霊」の柴主高秀が担当している。出演は、「アイ・ラヴ・フレンズ」の萩原聖人、「告別」の裕木奈江、「GO」の山本太郎、「ゴジラ×メガギラス
G消滅作戦」の池内万作、「GO」の大杉漣ら。本誌第75回日本映画ベスト・テン第9位、第14回東京国際映画祭ニッポン・シネマ・ナウ部門出品、芸術文化振興基金助成事業作品。一部βカムからのキネコ。
光の雨評論(2)
連合赤軍事件をモチーフにした作品で
総括という名の暴力。
同テーマを扱った映画の中ではまだ優しいかも
しれないが、はじめてみたときの印象は
いまも残ってます。
メイキング映像監督は萩原演ずる阿南。撮影監督はCMディレクターだった樽見省吾(大杉漣)であり、この映画が初監督という設定。順調に進んでいたロケも途中で樽見が失踪してしまい、急きょ阿南が監督を引き継ぐことになった。
若松孝二版に比べると悲壮感とか虚無感などは感じられないが、当時の事件を知らない若者たちと比較したり、彼らが事件当事者を理解しようと努力したり、さらには徐々に自分の役柄に感情移入してしまったりする姿が描かれている。あさま山荘に立て篭もる事件に関してはほとんど描かれていないものの、観客に一緒に考えてもらおうとしている姿勢は評価できるところだ。一番良かったのはエンディングに流れる裕木奈江と山本太郎のメッセージかも。
ヌード:川越美和