ロード・オブ・カオス

ポーザーにはついていけない世界。若い演じ手たちのおかげでホロ苦い"ブラック"青春映画的趣もある。
※グロすぎ警報※
悪魔万歳！本気か？大口軽口要注意!! 実行しない"口だけ人間"にチクっとくる(どころか背筋凍る)内容、他人事じゃない教訓。ハッタリかますだけの主人公は他人の手柄を横取りしてばっかり。一方で、DQNネーム"ヴァーグ"ことクリスチャンは一ファンに過ぎなかったのに、真に受けすぎて、そうした何もかも行き過ぎた言"動"が信念そのものに。本作のそれはさっさと主人公食う(そして主人公が脅威を感じる)存在にまでなるので、内実はまるで違うが、導入部など少し"狂信的ファン"モノっぽさも？執拗な暴力描写、ブラックサークルやばすぎ!!
BASED ON TRUTH... LIES...
AND WHAT REALLY HAPPENED
カルキン弟(『コロンバス』)頑張っている。キルマー息子もいる。彼のトラウマ級に衝撃的な死、そこから本格的に狂いだす歯車。スカイ・フェレイラのナイスバディさ初めて知った。

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BASED ON TRUTH.. LIES..
AND WHAT ACTUALLY HAPPENED
オープニング・クレジットでの上記のテロップ．．．　何をふざけているのかと疑問にも思わないクダラナさから、いつもならクソミソにシニカルに揶揄もしたくなる個人的なお遊びでもロック史上だけでなくミュージック史上を含めて、この奇々怪々な物語を垣間見ることができたのは、ある意味、映画よりも不思議な事の巡り会わせなのか？

excuse ALL the BlooD
Let the PARTY
BeGIN！　　　☆ dead
本作品『ロード・オブ・カオス』の中で新加入のフロントのデッドが、自殺した時の遺書．．．　そんな遺書を見ると最近のローリーのお兄ちゃんはどうしているのかとふと思ってしまう。世界初の男性誌Esquireの2020年2月11日付けの記事に近況が寄せられていた。去年の少し古いお話。
Macaulay Culkin Is Not Like You　の見出し記事には10才からカルキンの広報担当の穏やかな女性が付き添い、彼は全身サンローランの服装でカメラの前でポーズをとっていた。元気で何より、だってこの人ほど一時、映画界を離れていた時に死亡説が流れた人はいませんから、何か？

This is the one. This is gonna make us famous. Mayhem will be
the band with the singer who blew his head off. Hey. We should
say I ate a piece of his brain, too.
前半のバンドのフロントであるデッドのステージ上での悪魔的な自傷シーンのゴアな表現は、血の色には多少違和感があるとしても意味や表現力においては中途半端さがなく、そんなナードな作り方を見ていると途中から変な話し、アメリカのトークショウ『Inside the Actors Studio』でティーンの時に自傷主義者で拒食症でもあったことを話していたアンジェリーナ・ジョリーの事を思い出してしまう。
この映画は、本当に変な話．．．　だって、だって、日本で公開される劇場版やDVD版では、なんて事でしょう？　デッドのショットガンでの自殺、ファウストの刺し傷、『タクシードライバー (1976年)』のラストを彷彿とさせるヴァーグによる(彼は正当防衛を主張)ユーロニモスの殺人の残忍な暴力のシーケンスは大幅にカットされトーンダウンしている。ただしBlu-ray版は視聴制限を外しているのでデレクターズカットではカットされたシーンを含め完全版を見ることができるというオマケ付き。少し個人的な事を言わせてもらうなら、本編で充分にゴア表現はお腹いっぱいぱいでもういいかなって？

The fact that Norway is ruled by a dictatorship and our people are
brainwashed with empathy and solidarity by the church and their
stupid Christianity doesn't bother you anymore?
- Of course it does. I hate that sh*t.
Either you do it for the cause and you take action, or you do it
because you want attention and you want to be a stupid-ass
celebrity rock star. You can't have it both ways.
映画としたらブラックメタルバンド・メイヘム（Mayhem）に起こった殺人や教会の放火などは大筋の話の流れとしては事実に沿ったプロットに仕上げているけれども個々のメインキャラの描写に関してはかなり、脚色をスクリプトに追加している監督のヨナス・アカーランド．．．　映画はアレンジされ18日間で撮り終えられている。ただし、彼はこの映画の準備段階の構想の10年間でそれまでにミュージック・ビデオを40本以上撮り貯めていたので案外とスムーズに撮影に利用できたと述べていた。
まぁ～、何と言っても映画の主力メンバーが全員が全員、流ちょうなアメリカ英語を話すなんてある訳ナイナイ．．．　当然、ノルウェー語でしょ⁉

No! Fu*k, stop the sentimental sh*t! Stop! There's nothing sad about
my death or my life. I'm Euronymous, founder of Mayhem, the most
infamous Black Metal band in the world. I had my own record store.
I had my own record label. I created a whole new musical genre: True
Norwegian Black Metal! And I created Mayhem. What the fu*k have
you done lately? Poser.
同じ時代を生きた "The Fat of the Land" という一大モンスター級のアルバムとパフォーマンスを見せた近代ミュージックの代表The Prodigy と比べると非道とか外道という言葉がピッタリと似合うかも？　失礼

"In the future, everyone will be world-famous for 15 minutes."
「いずれ必ず、誰にでも少しの間だけは(一瞬だけでも)世界的に有名になれるときは来る」
ノルウェーのお隣の国スウェーデンにあるストックホルム近代美術館で1968年に行われた個展のポスターから．．．　今は亡き、ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルの言葉
アンディ・ウォーホルが掲げる言葉を実践するようにブラックメタルバンド「メイヘム」を少しでも有名にしたい一心からバンド仲間の死をも利用するバンドリーダーのユーロニモスに対して、彼の行動に賛同するようにベーシストとして新加入して来たヴァーグ．．．　ユーロニモスの人が起こした騒動を利用する受動的な立場からヴァーグのネオナチ思想を根底に実践優先型が出てきたことでバンドの力関係のバランスが崩れ始める。
1970年代初頭に現れた連合赤軍や現代でも生き続けるカルト宗教、世界規模のネオナチズムなどが起こす騒動をたまに聞く。　総括の成れの果てのような狭いコミュニティで何故か起こってしまう粛清と捉えるのはバカげているのか？　それとも飛躍過ぎているのか？

From 1983 to 1984, director Jonas Åkerlund was a rehearsal
drummer for the Swedish metal band Bathory, which was
one of the inspirations for the Norwegian Black Metal bands
of the 1990's which are focused on in this movie.
2018年のインタビューから監督のヨナス・アカーランドは90年代のブラックメタル・カルチャーが融通が利かないクソ真面目さについていけなくなり映画製作に転向したと述べていた。
最初、ブラック・コメディの映画と思っていると精巧なギミックを使ったゴアな表現のオンパレードとなり、その事は作中に現れていた。
映画の作中、ユーロニモスやバンドメンバーがテレビで見ていたのは、『ロード・オブ・ザ・リング』で一躍有名になったニュージーランド出身の映画監督ピーター・ジャクソンがカルト時代に制作した映画『ブレインデッド(1992)』でニュージーランド人がよく使う芝刈り機を使ったゾンビ？を粉々にするゴーリーなワンシーンをオマージュとして登場させている。
貞子さん風でジャンプ・スケアー風でストロボによる "intro freeze-frame montage" ストップモーションなども取り入れた回想シーンも映画に付け加えるなど、どちらかというとホラー・テイストも感じられる映画となっている。

酷評するほど嫌いな方の多い、意外性のある、そんな映画です。