両親を失った孤独な少女が、封印されていた花園を蘇生させ、周囲の人々と共に生きる喜びを取り戻していく姿を描いたヒューマン・ファンタジー。監督は「僕を愛したふたつの国
ヨーロッパ・ヨーロッパ」のアニエシュカ・ホランド。製作はフレッド・フックス、フレッド・ルース、トム・ラディの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーは「ドラキュラ(1992)」の監督、フランシス・フォード・コッポラ。「小公子」「小公女」で世界的に有名な児童文学作家フランセス・ホジスン・バーネットの同名小説をもとに、「アダムス・ファミリー」のキャロライン・トンプソンが脚本を執筆。撮影は「バートン・フィンク」のロジャー・ディーキンス。音楽はズビグニエフ・プレイスネルが担当。主演は米英両国で行われたオーディションで選ばれた3人の子役たちイギリスのテレビドラマに出演していたケイト・メイバリー、イギリスの劇団に所属し舞台やテレビで活躍していたアンドリュー・ノット、まったく演技の経験が無かったヘイドン・プラウズ。他に「天使にラブ・ソングを…」のマギー・スミス、「キャル」のジョン・リンチらが共演。
秘密の花園(1993)評論(7)
イギリスのご婦人はガーデニングがお好きな方が多いことでも有名。小公子や小公女でも著名な原作者バーネット夫人の晩年の作品である。以前、借り受けた屋敷にある荒れた庭園を見つけ再生に腐心した思い出を基に本にしたそうだ。
子供たちが主役で大人たちは何か残念な人達に描かれる、心を閉ざし、美しかった庭を閉ざし現実から目をそむけるばかり、これは館の主アーチボルド・クレイヴン卿を借りながら世相への作者の失望と幻滅を象徴しているのかもしれない。
メアリーとコリンの話はアルプスのハイジとクララのようでもあり自然の美しい風景と小動物たちを描くのは児童文学の王道だろう。ただ、薄幸の美少女でなく無愛想なお転婆という設定は意味深だ。家政婦のメドロック夫人はまるで童話の魔女、お屋敷も恐怖の館風だったり、花園を夫人の事故死の現場と言って荒れ放題をつぶさに映す冷たい描写、犬もなんとも無愛想、コマドリが可愛いと思ったらカラスが登場、随所に細かい棘が仕掛けられており素直に酔わせてもらえない。確かにビフォア・アフターのギャップがドラマツルギーなのだろうが素直なメルヘン風の方が好みなので微妙でした。
メアリーやマーサは可愛いんだけど、名子役という雰囲気ではないのが残念だ。もっと自由に演技させてあげたいところですね。それと、マギー・スミス。何でもかんでも彼女を女優賞候補に選ぶ英アカデミー賞にも疑問が残る(はずれは無いかもしれないが・・・)。