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ジャッリカットゥ 牛の怒り評論(15)
暴れる牛は、CGで作ったモンスターではなく、実写の普通の牛。
さっさと捕まえればいいのに、なぜか捕まらない。
この映画、たくさんの人間が叫び、走る姿以外、自分は観た記憶が無い。
本編は、予告編を50倍に引き延ばしただけだった。
なかなかのエンタメ作品でした。リズム音楽と細かいカット切り替えではじまるオープニングがインド映画っぽくない(って言えるほど観ていませんが・・・)雰囲気で期待が膨らみます。
話はひたすらシンプルなんですよね。逃した水牛をみんなで追うだけなんで。ですが、監督が描きたいのは、追うほどに大きくなり、明らかになる人間の「欲」や「卑しさ」そして「獣=欲にまみれた人間」なのではないかな?って思いました。本作は追いかけっこの醍醐味あります。予告編通りに後半は徒歩版マッドマックスみたいです。怒りのウォーターバッファロード。しかし、間違ってはいけません。追いかける話であって、チェイスはないです。
スピードはないですが、工夫が随所にあるんで、観てて飽きません。ヒヤヒヤするスリルはないですけどね。セットらしいセットがなく自然を舞台にしてるのに。見せ方うまいなー。あとは、人間の血走り感がへんな迫力です。気色悪いくらい。なんでしょ?人間の集合体が「欲」っ名前の生き物にすら見えてきます。あさましく、滑稽。
こんな姿を神様はなげいてんじゃない?って、客観的な視点で見せてくれている気がします。
ヒンドゥー教では、牛は神が乗っている生き物で、神聖な生き物だそうですね。本作はインドでもどうやらヒンドゥーの地域ではないみたいですが。そのあたりも上手く関連づけている気がします。
ストーリーの面白みは高くはないと思います、場合によっては退屈と感じる方も多いのでは?と思いますが、僕には興味深い作品でした。良作。
個人的にはクッタッチャンが好き。あの部下達のコールがしばらくリフレインしてました。
しかも牛を屠殺して売買…えっ? インドじゃ牛を食べないはずでは?
…いやいや、この村にはキリスト教会があるじゃないか。
インド人でも、キリスト教徒なら牛を食べて問題ないわけだ。
そう言えばイスラム教徒もいるから、豚は食べずに牛は食べるよね。
なるほどインドって広いから、宗教も食文化も多様なんだ。
…結局「野獣より人間が怖い」という映画。
音楽の雰囲気などは良かったが、物語としては何のカタルシスもなし。
後で調べたら、インドは牛・水牛の冷凍肉輸出量では世界一の国なんだね。
インドの宗教・食文化の多様さを再認識して、驚きました。
とても勉強にはなったけど、映画としてはあまり評価できませんでした。