青森県・津軽を舞台に、メイドカフェで働く人見知りな津軽弁少女の奮闘と成長を描いた青春ドラマ。「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督が越谷オサムの同名小説を実写映画化し、「名前」の駒井蓮が主演を務めた。弘前市の高校に通う16歳の相馬いと。三味線を弾く時に爪にできる溝「糸道(いとみち)」を名前の由来に持つ彼女は、祖母と亡き母から引き継いだ津軽三味線が特技だが、強い津軽弁と人見知りのせいで本当の自分を誰にも見せられずにいた。そんなある日、思い切って津軽メイド珈琲店でアルバイトを始めたことで、彼女の日常は大きく変わり始める。いとを心配しながらも見守る父を豊川悦司、津軽メイド珈琲店の怪しげなオーナーをお笑いタレントの古坂大魔王、シングルマザーの先輩メイドを「二十六夜待ち」の黒川芽以がそれぞれ演じる。
いとみち評論(20)
ネイティブな津軽弁に日常が重なって映画だということを忘れてすっかり入り込んでしまいました。
いとがぎこちなくコーヒーを運んでいる時転んでカップを割ってしまった時、ハッとしました。
今まで見てきたドラマではお客様にお詫びをし仲間を叱りつけるようなシーン。
お客様を怒鳴りつけ、いとを守った。
仲間を信じる姿に思わず涙してしまいました。
いとを1人にして後で真相を確かめる。
いとが悪かったという言葉にみんなが傷つくと一喝。
愛情深くてまた涙。
おばあちゃん役は女優さんでなかったんですね。
すごく自然であたたかで寛大。
家出するいとにかーけと干し餅を。
とっちゃにはかーと一言(笑)
無理に引き止めず、頭冷やして来いってカッコいい!
いとがエルムの街で友達と待ち合わせして、町営住宅に。
狭い部屋にあふれる物。ぼろぼろのふすま。
よくある光景と母娘のやりとり。
あー重なるなーと共感。
自分の想いを口にして、相手を傷つけたとお互いにそういうつもりじゃないと謝る。
そして笑う。
友達っていいなー😊
とっちゃと一緒に山登り。
自分の住んでいるところは小さい。
あの山の上の風景のシーンは好き。
やっぱり映画館で見る自然は心洗われますね。
三味線を修復する職人さん。
あっ、子供達が小学校の頃の三味線の先生工藤まんじさんだ!
アルバイト代全部使うよねー。
困難を乗り越えて守りたいものがある。
ネタバレなしでは感想を書けません。
生きるってそういうことだよねー。
うん。私は幸せだなーとほっこり😊
所々、おばあちゃんのリアル青森弁が判らなかったけど、
それも愛嬌で笑顔になれました。
三味線の「糸道」というのを始めて知りましたが、
そこから取った『いと』という名前、とても可愛い。
いとの歩む道、良いタイトルですね。
人見知りの若者が、今までの自分を知らない場所で、新しい自分に慣れる。
解ります。
また、それぞれに悩みを持ちながらも前向きに生きようとしている
新しく出会った先輩たちに、成長の手助けをして貰える。
心の過疎化が進む都会では、なかなか見られない人間関係に、
心がほっこりしました。
黒川芽以さんのシングルマザー、良かったです。
3回目でようやく
幸子さんに髪を梳かしてもらい
泣くシーンの意味が分かりました🙇♂️
細かいことは分からなくても
なんとなくいい感じになって
席を立てるそんな作品。
皆さんいい味?出ていると思いますが
私は工藤店長が一番印象に残りました。
ラスト三味線のシーンをあっさり切り上げてますが、そこがまた余韻があっていい。
私は地元民ではないですが
何度も登場する
岩木山は特別なんでしょうね。
主演の駒井蓮は長身痩躯系の女性だが、劇中で放つ津軽弁の心地よい可愛らしさに心を掴まれ、ジャガイモの皮を剥く姿やネギを刻む佇まいに魅了される。
家に帰るなり部屋で靴下を無造作に脱ぎ裸足になる姿なども地に足の付いた性格を感じさせる。(劇中では家にいる場面やラストの三味線場面でも裸足である事で素の自分を出せる演出?)
いとの家族の姿も的確に描かれていて、父親役の豊川悦司の変わらない存在感も良いが何と言っても祖母役の西川洋子がとてもいい。優しさとユーモアを自然体で表現して3人のやりとりに和む。経歴を見ると青森では有名な三味線奏者の弟子で奏演者としても一流らしい。
メイド喫茶のメンバーや優等生の友人と出番は少ないが母親達なども皆好演している。(個人的には優等生役のジョナゴールドのちょっと個性的な佇まいと硬質な演技や表情が変わる様が良かった)
監督脚本の横浜聡子は、的確な演出と構造で物語をまとめており、適当なユーモアも含めて心地よい作品に仕上げてあり過去の作品も機会が有れば見てみたい。
撮影はベテラン柳島克己が担当して風光明媚な青森市の風景と狭い部屋での凝った撮影などしていて何気ないところも随所にキレのあるカット収めていて見応えがある。
地方映画として、個人的に良かったのは、冒頭にいととすれ違うリンゴ農家の農薬散布車や祖母がおやつ代わり渡す青森名物の干し餅などの描写や祖母と玄関で話すおじさん(好演)との津軽弁での自然な会話などや三味線職人の姿をサラッと挿入していてもCM臭くなくて文化記録としての側面もある映画として好ましい。
映画のコピーにもある市井の人の姿を、女性達主体で見せてくれるのも本作の特徴だと思う。
いとの家族、メイド喫茶の子持ちの同僚葛西、いとの友人となる公共住宅に住む優等生の伊丸岡などは、片親で生活していて、その為に世間の偏見やトラウトや仕事の都合で生活に苦しんでいて裕福では無いけれど頑張る姿に危機陥ったメイド喫茶の姿もオーバーラップして物語に深みを与えて、働く女性達へエールを送っている。
気になるところは、原作の書かれた時期の問題もあるけど、メイド喫茶の描写がかなり古いイメージで、やってくる常連客もちょっと偏見入っている印象。原作だといとが住む地域はもう少し田舎で山奥だったと記憶(間違っていたらすいません)しているが、割と普通になっており、祖母ベッタリな生活で津軽弁が身についた設定だったので映画では割と普通な場所に見える。
日本映画界隈では、地方映画やご当地映画を村おこし的観点から自治体などが出資(税金や市民の募金)をしてそれを専門に請け負って映画を製作するプロダクションも存在感すると、映画批評家の柳下毅一郎氏のいくつかの著作で地方ご当地映画について書いているが、それによると大まかにテンプレ的パターンの脚本が有りそれを、適当にその地方に当てはめて作られる粗製乱造な魂のない作品が殆どであると指摘しているが、おそらく青森出身者が多くてキチンと作られている本作には当てはまらないと思う。
ちなみにお笑い芸人を多数抱えている吉本興業も地方映画祭やご当地映画市場に参入していて、自社の芸人に演出や出演をさせている。(吉本の無名で奴隷に近いタレントをタダ同然でこき使って制作していると噂されている模様)
安易に量産されるご当地映画を吹っ飛ばす傑作としても是非観る価値のある作品で、人見知りの主人公の変化と成長を、美しい夕景山を背景にしたタイトルバックでの見上げてるだけの山から、父親とも今まで以上に理解し合い互い登山する終盤場面でまたの世界の広さと知るなど描写や物語構造しっかり明確に見せてくれる。
メイド喫茶がどうなったかなどは安易に見せないのも良い。