「ロング・ウェイ・ノース
地球のてっぺん」のレミ・シャイエ監督が、西部開拓時代のアメリカに実在した女性ガンマン、カラミティ(厄介者)・ジェーンの子ども時代を描き、アヌシー国際アニメーション映画祭2020で長編部門のクリスタル賞(グランプリ)を受賞した長編アニメーション。12歳の少女マーサ・ジェーンは家族とともに大規模な旅団に加わり、西へ向けて旅を続けていた。しかし旅の途中で父親が負傷し、マーサが家長として家族を守る立場になる。少女であることの制約にいら立つマーサは、家族の世話をする義務を果たすため少年の姿で生きることを決意。そんな彼女の生き方は、古い慣習を重んじる旅団の人々との間に軋轢を生む。さらにマーサを危機から救ってくれた中尉を旅団に引き入れたことで、盗みの共犯の疑いまで掛けられてしまう。
カラミティ評論(6)
「女性はこうでなければならない」というレッテルを拒み、生きていくためにジーンズを穿き、馬に乗り、髪を切ったジェーンは、周囲から「カラミティ(厄介者)」扱いされる。ジェンダーレスは西部開拓時代のみではなく、もちろん現代にも通じるテーマだ。
前作『ロング・ウェイ・ノース』でも特徴的だった、輪郭線を使わずにベタ塗りかつ平面・絵画的に描かれる作画デザインは本作でも際立つ。前作では白銀の世界が見事だったが、本作では特に自然風景が素晴らしい。
前作よりもアドベンチャー要素を強くし、登場人物たちの意識改革も描く。まさに良質なアニメ。