名匠アラン・レネがジャン=ポール・ベルモンドを主演に迎え、1930年代にフランス政財界を揺るがした「スタビスキー事件」を映画化した実録サスペンス。1930年代初頭。ウクライナ出身のユダヤ人実業家アレクサンドル・スタビスキーは、支援者のラオール男爵らと組んでビジネスで成功を収め、妻アルレットとともにパリで華やかな暮らしを送っていた。しかしスタビスキーのビジネスは、そのほとんどが彼の軽快な口車と政財界の有力者への賄賂で得た利権を用いた詐欺まがいのものだった。やがて明らかになりはじめた彼の犯罪は、国家を揺るがすほどの一大スキャンダルにまで発展する。「ガス燈」などの名優シャルル・ボワイエがラオール男爵を演じ、1974年・第27回カンヌ国際映画祭で特別表彰を受けた。2022年、ベルモンド主演作をリマスター版で上映する「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」(22年9月2日~、東京・新宿武蔵野館ほか)で47年ぶりに劇場公開。
薔薇のスタビスキー評論(4)
スタビスキー事件が起きた時の内閣は
左翼同盟内閣なのだが
1933年12月末にバイヨンヌ市立銀行が倒産し
スタビスキーが疑惑を招く自殺をしたあと
次の内閣も世論を落ち着かせられず
1934年2月6日の暴動で倒れ
このあと右翼政権が続く
ドレフュス事件以来
ユダヤ人問題もくすぶっていたようなのだが
ウクライナ出身のユダヤ人である彼の詐欺事件を機に
フランスは分裂状態が続く
彼の豪勢な生活ぶりと共に
亡命ロシア人(ユダヤ人)トロツキーや
ドイツからのユダヤ難民女性の人生が交錯する
美しきアルレットはシャネルのモデルで
映画ではサンローランが考えるシャネル風衣装を披露
シャネルは模造宝石のアクセサリーも流行らせたが
質屋でもあった彼はその目利きの信用を悪用して
宝石詐欺を思いついたのだろうか
ビシー政権を非難してしまうが
それに繋がってしまう地下水脈のようなものも感じられた
スタビスキーはアルレットにしがみついていたが
本当に愛していたかはわからない
劇場も所有したが詐欺師の彼は総てが演技なのだろうか
彼の人生みたいなちょっと謎めいた映画でしたが
ベルモンドには皆を引きずり込んでしまう
詐欺師の魅力のようなものを感じました
彼の共犯だった人々はその存在を記憶からも抹殺しようとする
語り部となる男爵(ボワイエ)とあの政商にもモデルはいるのかな
時間軸ずらして、彼の近くに居た人達の証言、包帯の彼?と思ったらシャモニーの山小屋にいるベルモンドとワクワクする構成でした。ベルモンド映画常連の2名も確認!これも嬉しかった。
あれだけ沢山の薔薇があっても香りが感じられなかった。妻のためと沢山の白い薔薇で車を飾ったがまるで葬送車だった。薔薇の使い方をあえて表面的にしていることでスタビスキーの嘘っぽさがよく表われていた。でもベルモンドの顔見ると憎めない。