文化庁委託事業「ndjc(New Directions in Japanese Cinema):若手映画作家育成プロジェクト」で、2022年度に製作された短編4作品のうちの1作。30代半ばの俳優・柳田佳典は映画出演のチャンスになかなか恵まれず、映画やCMの撮影前に出演者の代わりに準備作業をするスタンドインの仕事をこなす日々を送っていた。そんなある日、CM撮影現場で一緒に仕事をした人気俳優・小倉涼とプライベートで飲みにいくことに。そして柳田のもとに、映画の主演オーディションのチャンスが舞い込む。「ヴィニルと烏」の宮田佳典が主演を務め、「ふたつの昨日と僕の未来」の佐野岳、「ミスミソウ」の大友一生、シンガーソングライターの石川浩司、テレビドラマ「時効警察」シリーズのふせえりが共演。
サボテンと海底評論(1)
「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2022」で上映される4作品の1本で、学生の自主映画で主演に選ばれたスタンドイン俳優の悲哀をペーソスに描く。とことんまで不遇な主人公を演じた俳優が、当て書きで起用されたというだけあって実に味がある。
ただ、あまりにも不遇過ぎるが故にああいったオチにしたのかもしれないが、正直“逃げ”と捉えてしまった。もちろん、「自分は俳優である事にやりがいを感じる」と捉える事もできなくないが、それならそれをドラマとして描き切ってほしかったかな。