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映画 窓ぎわのトットちゃん評論(20)
トットちゃんは恵まれた家庭に育ち、軍国主義に毒されない立派な両親と教育熱心な教師と出会うことで、立派な人物に成長できたわけです。
それはそれで美談として成立するでしょう。
ただし、トモエ学園を馬鹿にする少年たちはいかにも貧困そうな服を着て、彼らを単純な悪役として描くのはどうなのか? 教養を身につける余裕のない多くの国民は、国の導くまま、戦争に協力したことは愚かだったのか?
映像化したことでそのあたりの作品に対する違和感が明白になりました。
アニメーションとしてのクオリティは高く、作品が訴えたいことの重要性は十分評価した上で、あえて「欺瞞」として映りかねない部分を指摘しておきます。
有名すぎて手が出なかった本がいくつもあります。
何度か手を伸ばしてみては、そのつど "今更かなぁ…" と
読む機会を持たなかったタイトルのひとつ。
それがこの「窓ぎわのトットちゃん」 です。
いわさきちひろの表紙イラスト絵も有名です。
今回のアニメ化がいいきっかけでしょ? と自分に
言いきかせ、劇場アニメを観に行ってきました。
(原作本はまだ読んでいません)
◇
鑑賞終了。
この作品を観る上で大事なことがあるかなぁ と。
#色々な場面で心に浮かんだ気持ちが大事。
#浮かんだ気持ちは心に留めておかないと。
#自分の周りにもトットちゃんはいたのかも。
#自分はトモエ学園の側に居たのだろうか…。
観終わって、そんなことを思っています。・_・ハイ
この作品、少しだけ人と違った女の子のお話。
フツーの小学校で持て余されてしまい、ここならばと
訪ねた学校が「トモエ学園」でした。
この学校は鉄道の車両を教室にしているのです。
そこには、トットちゃんにとって大切な人達との
出会いがありました。
・優しく迎え入れた小林先生。
・小児麻痺で右足と左手が不自由な子
・実験の好きな子 etc
家にはバイオリン弾きの父と優しい母もいます。
好奇心旺盛でやや落ち着きの無かった女の子が
自分を認めてくれる人達の中で成長していきます。
と、このようなお話なのですが、時は昭和15年ころ。
日本は戦争へと進んで行きます。
こどもの生活にも次第に陰が落ち始めます…。
◇
主人公トットちゃんこと黒柳徹子さんは今も元気で
ご活躍中なわけですが、現在の、そしてこれまでの色々な
番組司会等で目にしてきた徹子さんに、こんな過去が
あったのかと驚くと同時に、戦争の愚かさを追体験できる
内容となっています。
鑑賞後、やはり原作を読みたくなりまして
ネットで注文をかけました。
届いたら読んでみようと思います。
続編も出ていたのに驚きつつ、こちらも購入。
(今年10月の出版でした。新刊です ・_・)
◇あれこれ(印象に残った場面)
■校庭で水遊び
なにかこう、すごいインパクトのある場面でした ・-・。
気持ち良さそうではありますが、今の時代に同じことを
やったらきっとエライ事になるだろうなぁ… ・_・;
■♪トモエ学園 良い学園♪
いじめっこの暴力に立ち向かったトモエ学園の子たち。
相手が口にする悪口の歌を、逆の良い歌詞にして返すのです。
とても力強く逞しい団結力。痛快な場面でした。
■ひよこ
縁日で売っているヒヨコ。
ひよひよ ととても可愛いです。ですが
あっと言う間に大きくなり、朝から♪コケコッコになるからダメ
…かと思ったら、弱くて育たないから でした。
■15粒の大豆
成長期の小学生にとって、おやつにもなりません…。
食料難というのがやはり戦争の悲惨さの一つです。
仙豆なら一粒で良かったのに…。
◇最後に
この作品の他にも、戦争の時を生きた子供を描いた話はあります。
・この世界の片隅に とか
・火垂るの墓 とか
・裸足のゲン とか
いずれも戦争に翻弄されながら生きる人の話です。
そういった作品の中でこの「トットちゃん」は、現在もご活躍
されている実在の方が主人公ということで、
この子の生きた先は未来繋がっているということを感じながら
読むことが出来るかなぁ などと
そんな事を考えながら本のが届くのを待っております。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
トットちゃんとトモエ学園の出会いがとても印象的である。普通の学校では、好奇心のままに行動して規律を乱すこどもは望ましくない。小学1年生なのに「迷惑だから他の学校へ行ってくれ。」と退学させられた黒柳徹子も大したものだと思うが、彼女のすべてを肯定して「君はほんとうは、いい子なんだよ。」と受け入れるトモエ学園も大したものである。こどもの好奇心と自主性を大切にする学園にとっては、まさにぴったりの生徒だったのだろう。トットちゃんの方も、トモエ学園でその自由な天性を開花させる。
小児まひで体が不自由な泰明ちゃんとの交流を通して、トットちゃんは人生で大切なことを多く学んだ。それは一言で言えば「人への思いやり」であり、それを形に表す「行動力」である。木登りやプールなどいくつものエピソードを重ねて、二人の気持ちがよく伝わるように描かれていた。
原作は知らないが、映画ではこどもの視点だけではなく、おとなの視点や社会情勢もうまい具合に描かれていたと思う。運動会で、トットちゃんと泰明ちゃんの母親が、手を取り合って喜ぶ姿が印象的である。心配ばかりだったわが子が、力を合わせて頑張る姿は感慨深いものであろう。いつもこどもたちをやさしく見守る小林校長先生の、教育者としての熱いまなざしも共感できるところである。そして身近な「死」や「戦争」の理不尽さも、物語に奥行きを与えている。
トットちゃんが好きになり、色々学ばせてもらいました。