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コヴェナント 約束の救出評論(8)
それと同時に、「義理と人情」が、日本人に固有の感性ではなく、世界に通用する価値観であるということにも気付かされる。
タリバンの爆弾工場の襲撃やダムでの銃撃戦など、派手な見せ場はあるものの、最も心に残るのは、負傷した米兵とアフガニスタン人通訳による100kmに及ぶ逃亡劇だろう。
それにしても、どうして通訳は、自らの命を危険にさらしてまで米兵を助けようとしたのだろうか?
いくら、息子を殺したタリバンに恨みがあるとはいえ、それだけでは、異教徒の外国人を必死で助けようとする彼の行動を説明することはできないだろう。
確かにビザが欲しいという打算はあったのかもしれないが、通訳は、やはり、「友人を救いたい」という単純な理由から行動していたとしか考えられず、そうした彼の純粋な心意気には、否が応でも胸が熱くなる。
また、帰還した米兵が、アフガニスタンに残してきた通訳を助け出そうとするのは、命を救ってくれた恩義に報いるためだろうが、それ以上に、彼が自責の念にかられるところには、「人を不幸にしてまで自分の幸せを手に入れたくない」という人生観が感じられて、これまた、胸が熱くなった。
さらに、これまで、夫の無事の帰還を待ち続けていたにもかかわらず、再度、彼をアフガニスタンに送り出す、理解のある妻の姿にもグッとくるものがある。
通訳にしても、米兵にしても、その妻にしても、彼らが体現しているのは、「自分さえ良ければそれでいい」という自己中心的で利己的な考え方の対極にある、「自分のこと以上に相手を思いやる心」であろう。
スリルとサスペンスに満ちたアクション活劇を楽しみつつ、そうした生き様の大切さについても考えさせられた映画だった。