演劇界で注目を集める演出家・劇作家の加藤拓也が、映画監督デビュー作「わたし達はおとな」に続いてオリジナル脚本で撮りあげた長編第2作。「あのこは貴族」「愛の渦」の門脇麦を主演に迎え、ひとりの女性がある出来事をきっかけに周囲の人々や自分自身と向きあっていく姿を描く。夫・文則との関係がすっかり冷え切っている綿子は、友人の紹介で知りあった男性・木村と頻繁に会うようになる。ある日、綿子と木村の関係を揺るがす決定的な出来事が起こり、日常の歯車は徐々に狂い出していく。夫・文則を「すばらしき世界」の田村健太郎、木村を染谷将太、綿子の親友・英梨を黒木華がそれぞれ演じた。
ほつれる評論(2)
夫は前妻と離婚し不倫相手である門脇麦が演ずる今妻と再婚したが、夫は子供の面倒を見るとの理由をつけて前妻と関係も続けていた。
それに気づいた今妻は友人の紹介で知り合った既婚者と不倫するが、不倫旅行からの帰路、相手が交通事故に遭い眼前で死ぬ。
また、不倫相手の今妻にも知られることになるなど人間関係はごちゃごちゃ!
ほつれるは漢字で書くと「解れる」と書きます。意味は、解けて乱れるだそうです。
なるほど(感心)
題名の意味するところは、二組の夫婦の妻と夫の関係性だろうか?
田村健太郎が、一見、誠実そうだが、理屈っぽさが鼻について、生理的な嫌悪感を抱いてしまいそうな夫を好演している。
翻って、門脇麦演じる妻の方は、一体何を考え、何をしたいのかがよく分からない。
基本的に長回しの会話劇が続くのだが、特に不倫がバレた後の「妻と不倫相手の妻」の会話と、「妻と夫」の会話は、見ているこちらが息苦しくなるような緊張感に溢れていて、スタンダードサイズの画面の閉塞感が、それを更に高める効果を上げている。
その一方で、そうした演劇的な見応えはあるものの、映画的な面白さがあまり感じられないのは、物足りないとしか言いようがない。
ラストは、「最初からそうしておけば良かったのに」と思えるような、あまりにも当たり前のところに落ち着いて、延々と何を見せられてきたんだという気分になる。
ただ、「不倫関係だった頃の方が、お互いに優しくて、うまくいっていた」といった台詞には、妙に生々しい説得力を感じてしまった。