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ザ・バンク 堕ちた巨像評論(20)
主人公はよくボケっと突っ立てるのが好きなインターポールエージェント・サリンジャー。優秀な彼はある日巨大国際銀行であるIBBCが様々な不法行為に関与しているのではないかという疑いを持ち始め、女性検事ウィットマンと共に捜査に乗り出します。
注目は独特のカメラワークと見事な映像美です。さすがにあの「パフューム~」の監督だけあって映像面は完璧です。世界4都市(ベルリン、ミラノ、イスタンブール、ニューヨーク)で撮影された本作ですが、各都市の良さのようなものが映像に表れていました。特にニューヨークは印象的で映像だけ観ていると、今すぐにでも行きたくなるようなそんな気分にさせられました。それから、カメラワークもお見事でした。特にグッゲンハイム美術館での銃撃戦の時は監督のリアリティーへのこだわりのようなものを感じました。
それから、クライヴ オーウェンについてですが、私は良い味を出していたと思います。特に演技派というわけではないのですが、独特の存在感があり、映画の1フレーム目(彼の顔のドアップ)から妙に引き付けられました。ナオミ ワッツは・・・ちょっと残念でしたね。おそらくママン(笑)になられてからいろいろと大変なんだと思います。暖かい目で今後を見守って行きたいですね。
さて、この作品の弱点についてですが、ストーリーはありがち、展開が遅い、全体的に雰囲気が地味、美術館での銃撃戦が終わってから警察が現場に到着するタイミングが実に都合がいい等、挙げればキリがありません。それから、思ってしまったのはグッゲンハイム美術館の警備はあんな甘いのでしょうか?あんな簡単に武器(マシンガン、拳銃等)を持ち込めるのでしょうか?まったく、わかりません。
しかし、ジョージ クルーニー主演の「フィクサー」等の陰謀ものが好きな私としては丁度いい作品でした。ああいった作品が苦手な方にはオススメできませんが、好きな方にはいいと思います。
実際のルクセンブルクの国際商業信用銀行BCCIの不正取引事件に触発されたブラックマネー・サスペンス。
仮にも銀行の看板掲げてマフィア顔負けの暗殺まで行っていたかは疑問だが武器から麻薬、核の横流しまでやっており顧客にはサダム・フセインやビンラディンもいたらしい。流石に巨悪過ぎて一介の刑事による逮捕劇では嘘に見えると考えたのか落としどころを一工夫したのだろう。
アクションは少ないが丁寧に撮っているので見応えがある、B級かと半信半疑だったが予想外に面白かった。
緊迫感ある尾行、アクション、見応えありました。
敵味方が利害で瞬間的に変化する世界のお話でした。巨額の金を持つ組織なら、銀行でもマフィアでも大差ないよって話な気がします。
原題の方が相応しいと思いました。