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デカローグ 第2話 ある選択に関する物語評論(1)
"Thou shalt not take the name of the Lord thy God in vain."
「あなたの神、主の名をみだりに(無駄に)口にしてはならない。」
この映画『デカローグ 第2話・・・』では3者のジレンマを描いているように...
アンドレの妻ドロタは、自分の夫が亡くなれば、一つの命が救われると思い、老医師に彼女の夫の容態を確かめようとする。
戦争で家族全員を失った老医師は、ドロタに彼女の夫の今後のことは、最初は分からないという。
そして、病院でのドロタの夫... 天井からの雨漏りのわずかな水滴音が拷問のように聞こえている彼が、死にたいのか?死にたくないのか?
“You shall not make for yourself an image in the form of anything
in heaven above or on the earth beneath or in the waters below.
You shall not bow down to them or worship them.”
最初はドロタの不倫に関して戒める物語だと単純に考えていたものが、話が進むにつれ、ドロタがいくら地位が高く、優秀な医師であっても神から委ねられた医師の力に頼ってしまう事が戒めにあたるのかもしれない... あまりピンとこない発想で、普通なら医学的専門職で主治医の医師にオピニオンを聞くのは当たり前で日常茶飯事な事。そして神のみ名を唱えつつ生きているという感覚はあまり持っていないのが正直なところ。
この映画では重要な役割のコンサル的な立場の老医師の名前が一切登場しないのが、この偶像的な存在になっている表現と思える。
南の島で働いていた時、中絶をする産婦人科医の病院の前で中絶反対の抗議デモをする人たちの様子がテレビで流れたりもしていた。アメリカでも宗派によっては厳しく戒めてもいる。
人の生死にかかわる事は、神以外が手を下してはいけないと思っている人が先進国の中でも多く存在していると改めて、この映画を観て思い出される。