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ボン・ヴォヤージュ評論(1)
数ヵ月後、ドイツ軍が侵攻して、6月14日にはパリ陥落。ヴィヴィアンヌは大臣のボーフォール
ドパルデュー)の愛人となりボルドーに逃げた。混乱に乗じて刑務所を出たオジェはそのボルドーをめざす。
ヴィヴィアンヌとオジェの殺人事件を絡めた恋愛劇と、オジェが列車で知り合った科学者カミーユと原爆を作るのに重要な重水、それを盗もうとする無法者たちがスリリングに描かれえて緊張感もたっぷり。暗い世相でありながら美しい映像なので大スクリーンで観られなかったことが後悔されるほどだ。
残念なのは登場人物が多すぎるため、どういう立場の人間だったかわからない人間が出てきてしまった・・・個人的にはカミーユ(ヴィルジニー・ルドワイヤン)が好きだなぁ。イギリスへ重水を運ぶ海岸のシーンで終わったら悲しかったはずなのに、1年経った後日談のような部分がとてもいい。カフェで再会したオジェとカミーユ。カミーユはレジスタンスとなっていて、二人はナチに追われ映画館に飛び込んでキスをする・・・その映画にはヴィヴィアンヌが楽しそうに踊っている。じっくり描かれていればもっといい映画になったに違いない。