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ミナリ評論(20)
正直なところ、この映画を観るまで知らなかったが、『芹』って、
「親は、子供の幸せを願い叶えるために(たまに独りよがりになってしまうこともあるが)一所懸命懸生きている」と云うことを表しているらしい。
身に染みまくる素晴らしいタイトルだと思う。
残念ながら、そうで無いニュースが時々聞こえてくるが、ほとんどの親は、子供のことを何よりも大切に想っている。
親になれば、そのことが、否が応でも身に染みる。孫が出来れば、更に別の染み方をするに違いない。
受けている、その時は分からない。
与える立場になって、感謝の念が溢れてくる。
映画を観ながら、亡くなった父や祖母を何度も思い浮かべた。自分と同じように、大切な家族との思い出がよぎる人は多いと思う。観客賞を受賞したのも頷ける。
後になればなるほど、ジワジワジワジワ染みてくるオススメの映画です。
本作は、自分の夢のためにガムシャラに己を貫く夫と、現実を見て手堅く生きてほしい妻の夫婦の物語であり、口が悪くてちょっと風変わりなおばあちゃんと、体が弱いけど男の子な孫の、不思議な触れ合いの物語でもあります。
人と人との交流、交わされる会話一つ一つに意味を持たせ、時代背景や心情を伝えるのが見事で、会話量が多くなくても情報量は多く、一場面で様々な感情を抱きました。
中でも、おばあちゃんの存在が印象的で、前半の破天荒で、でも憎めなくて、実は良い影響もたくさん与えていたりする感じが本作の癒しでした。なので、終盤は辛かった…。
正直、物語の展開は辛くてもどかしくて、救いが欲しいと思ってしまいましたが、それでも強く前を向く家族が、ミナリのように逞しく生きているのだと信じたいです。
ある家族の幸せの見つけ方を、そーっと眺めていた感じ。
穏やかな川の流れの中でも、
少し大きな石にぶつかったり、
魚が跳ねたり、鳥が飛んで来たり。
身近な幸せを大事にしたいと思える映画でした。
「ユン食堂」ファンとしては、
ユンさんの演技をじっくり観られたのは良かったです。