第二次大戦でドイツの勇将とうたわれたロメル元帥の悲劇を描く1951年作品。デズモンド・ヤング准将の「砂漠の狐ロメル」より「拳銃王」のナナリー・ジョンソンが脚色、同時に製作も担当している。監督は「黒ばら」のヘンリー・ハサウェイ。撮影は「Gメン対間諜」のノーバート・ブロディン、音楽監督は「南海の却火」のダニエル・アンフィシアトロフの担当である。主演は「邪魔者は殺せ」のジェームズ・メイスンで、「白銀の嶺」のセドリック・ハードウィク、「旅愁」のジェシカ・タンディ、「さすらいの涯」のルーサー・アドラー、「南海の却火」のエヴェレット・スローン、「白い恐怖」のレオ・G・キャロルらが助演。
砂漠の鬼将軍評論(2)
独国ロンメル将軍の真実を探る英国原作を、米国が映画化したというのが興味深い。第二次世界大戦の敵とはいえ、きちんと調べて軍人として人間として正当に評価する英米の姿勢は、見習うべきか。ただ対照的に、この映画で描かれたヒトラーは、カリスマ性も戦略性も、そして人間性もゼロであることが強調しすぎている気もするのだが。
ロンメル演ずるジェームズ・メイソンは抑えた演技で、筋金入りの軍人らしく、同時に深い知性を感じさせとても魅力的。当時、ドイツのみならずイギリスでも英雄視されたのも納得させられる演技であった。
ノルマンディ上陸作戦後のヒトラー暗殺失敗の7月20日事件には、興味をそそられた。敗色濃厚なのに国家を道連れに破滅に向かう独裁者の狂気は、やはり恐ろしいものがある。それを阻止しようとする勢力は確かに有った訳だが、ロンメルも含めて抹殺されてしまう理不尽さがとても悲しい。