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インセプション評論(20)
Water offにしていたのに水がかかって嫌な感じでした。
夢の世界の話ですが、夢はすぐ忘れてしまいます。
Netflixで鑑賞。
圧倒的な世界観! 緻密な設定、目を見張る映像、圧巻のアクション、重厚なストーリー…全て非の打ち所が無いくらいに完璧でした。さすがはクリストファー・ノーラン監督だなぁ、と思いました。本作以降、重力を無視したような斬新な表現を駆使している作品について、「インセプションみたいな」という形容詞が生まれたほど、そのジャンルの金字塔として君臨している傑作なんだなと、実感しました。
CGを極力廃して、アナログな手法で大迫力のシーンを創出する…。クリストファー・ノーラン監督の職人技には感嘆させられることしきりです。街中に本物の貨物列車を走らせ、大きなセットを回転させ、雪山の要塞を木っ端微塵に爆破する…。なんて贅沢な予算の掛け方なんだろうか!(笑)
最新作「TENET テネット」では、本物の旅客機を倉庫に突入させるという大規模なシーンを撮影しているんだから、そのこだわりはとどまるところを知りませんなぁ~(笑)
――
意味深なラスト…(>_<)
果たして現実や否や…?
もしくは、始めから全部夢だったのかも?
数年ぶり2回目の鑑賞。
とはいえ前回観た時の記憶がほぼなくなってたので(すごい作品で夢の話だったことくらいしか覚えてなかった)ほぼ初見状態。
すさまじい情報量にまだSF耐性もなかった数年前の私は処理仕切れなかったんだろうな…。
改めて観るとやはりすさまじい情報量。かなり練られて考え抜かれた物語だということがわかる。
個人的に印象に残った点を3つ。
まず、夢の世界の世界観が素晴らしい。
アリアドネが最初にコブに勧誘されて作った360°接着世界とか合わせ鏡のシーンも印象的だったし、インセプションした人物がその世界に自覚的になった瞬間、潜在意識の人々に一斉に視線を向けられる様子もとても印象的だった。
あと、深層意識の階層という概念。これはこの作品の複雑さの一つになってるんだけど、ここが作品の広がりを持たせているし、色んな場面が出てきて楽しい。
コブたちの当初は第一階層、第二階層、第三階層までの予定が、第四階層、第五階層(コブが最後にサイトーにインセプションしたのは第五階層?)まで行ってしまって最終的に私は混乱していた…。
時間軸が絡むと物語は複雑になるけど、深層意識(夢)
もかなり複雑になるなあと実感(今敏監督の「パプリカ」とか三宅乱丈さんの「pet」とか思い出した)。
夢と現実の境目がわからなくなる体験はかなりスリリングだし、深層心理っていうのはかなりデリケートな部分だから介入されれば存在が揺るがされる危機感もあるよね。
あとその深層意識に何かを「植え付ける」行為の恐ろしさ。今回インセプションによる介入の対象となったロバートは、「自分で選んだ」つもりだけど、実際には深層意識に介入され、「父とは違うやり方をする」という選択をサイトーの思惑のままに選ばされようとしている。
たぶん現実の広告とかも広義では同じことをしていると思うけど、深層意識ってアイデンティティとか人間の思考にバイアスをかけるのにうってつけなんだろうなあと。
コブがモルと一緒にいるために深層意識に植え付けた「種」が意図せぬ形で彼から妻を奪うことになった結末も切なかった。
ちなみに、ラストシーン(コブのトーテムであるコマが回って、回転が乱れたところで暗転)は解釈が分かれるらしいし、私も正直結論は出せなかったけど、コマがあの後止まるといいなあと思う。
あと最後、エンドロールの最後で劇中キックに使われた音楽が流れるの「やられたー」てなるよね。私はなった。