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ジュディ 虹の彼方に評論(20)
実在の人物の伝記物としても音楽的作品としても、成功している。
レネーゼルウィガーのスイートボイスも歌唱力も抜群で、物悲しいスターの晩年を見事に演じ切った。
雑感は、スターって大変なんだな。
幼い頃からショウビズ界で働き詰めでそういう時代だったのか薬漬け。繰り返す結婚と離婚。ハリウッドがもっとも華やかなりし大作が産み出された時代の闇をみた。
ジュディガーランドが性的マイノリティに理解を示していたあの時代の数少ないスターだったことから、あの有名すぎる曲「over the rainbow」が現代のLGBTQのシンボルたるレインボーフラッグ🏳️🌈に繋がったのだと知らなかったので深く感じ入った。
「トロリーソング」はジュディガーランドの歌に当て振りかな?と観ていて思ったぐらい完璧すぎたが、なんと全曲レネーが歌っているとのこと。
途中ステージで、「ここはシカゴ?」というセリフがあったのだが、あれはレネーがシカゴのロキシーを演っていたメタ的発言なのだろうか?たまたま?
ラスト、「私を忘れないでね」のセリフには、製作陣のジュディへの愛を感じて泣けてしまった。
ドリームガールズやシカゴのようなド派手作品やマンマミーヤやヘアスプレーのようなどこまでもアッパーな明るい作風のミュージカルもそれはそれでよいのだが、ちょっと陰を感じるマリオンコティアールが演じたエディットピアフのような歌曲映画は主演女優の憑依的演技と歌唱力にぐいぐい引き込まれる。ビョークはいわずもがなだ。
いまだにブリジットジョーンズや夢みがちなウェイトレス役も強く印象に残るレネーだが、コールドマウンテンから暫くしたら顔貌が一変していて、このままメグライアン風味になっていくのかと思ったが、この作品は彼女の輝かしいキャリアの中でも最高峰に位置すると思う。
やっぱりレネー大好きだ。
逆に言えば、それだけジュディ本人の人生が過酷だった事を意味するわけだが、本作も終始彼女の苦悩にクローズアップした作りで、観ているこちらも辛くなる。
ジュディ本人を知らなくても、どこかで聴いた事のある曲をレネー本人が完コピしているあたり、さすがオスカーを獲得するだけある。もっとも、演技に熱を込め過ぎた反動からか、ドラマ要素が希薄に感じなくもないが。
同性愛者が犯罪者もしくは病気と見なされていた時代を反映しつつ、映画会社のトップからのセクハラ紛いの行為も盛り込んだあたり、#metooムーブメントやLGBTQ+が巷で叫ばれるようになった今だからこそ作られた映画、という印象。
ジュディの代表曲が「虹の彼方に」で、LGBTQ+のシンボルが「レインボー」なのは、決して偶然ではない。
娘のライザが語っていると言う「ハリウッドに生かされハリウッドに殺され」と。
ただ僕はいつもClownとして踊っていたジュディの姿を観ていた。
最近のコロナウィルス感染への自粛もあるけど、
4月1日は全館1100円の日だから、映画館も賑わっているだろうと、少しは思っていた。
・・・まさか・・・この映画を見にきたのが自分一人とは。スクリーン独り占め完全貸切状態。こんなこともあるんだ。しかし、真っ暗な中で自分一人とは孤独なもの。
後ろに誰かいないのかしら・・って、いたらそれはそれで怖い状態になる。
まぁ、やはり誰もがこの自粛騒ぎで外出を手控え敬遠して映画どころではないのかもしれない。
しかし、
「どんなに不景気でも、映画を見たい人はいる」(ルイス・メイヤーの映画内のセリフ)。
そうどんな状態でも映画を見たい人はいるんだ・・と思う。
ジュディ・ガーランド。僕にとっては特別な人だ。
ひたすら孤独であり続けた大学入学の頃、ミュージカル映画” The Pirate”や” Easter Parade”は、そのあとの楽しい映画人生を作ってくれたきっかけになった。
学生時代、今はなき三越ロイヤルシアターだったかどこかの名画座だったか、観たスクリーンの中のジュディはコケティッシュだった。
そしてまた和田誠の『お楽しみはこれからだ』の数冊を何度も繰り返して読んで、その中で” A Star Is Born”を実際に観て、セリフ"Hello, everybody. This is Mrs. Norman Maine"に涙した。その時のジュディの姿はまさに毅然として凛としたものだった。
今思えば、これは本当は実生活でも彼女自身が手に入れたかった言葉なのかもしれない。
彼女の人生がSex & Drugに浸り続けたものであることは、彼女のことを知るものは誰もが知ってる。だから劇中、何かを口に含むものを見るたびに心が痛む。それがなんであろうとも。
本当に彼女が望んだのは、DrugではなくCakeだったはずだ。ほんの一口、口にしたい甘いCakeだったはずだ。Cakeは彼女が本当に手に入れたかったものだと思う。にもかかわらず、死を目の前にするまで、それを口にすることはほとんどできなかった。
劇中では、それを最後に安心して手にしたのだろうか。食べ方もわからずに、何度も皿を回す彼女の姿は哀しい。それは絶えずhungryであり続けた彼女が、最後までそれを満たすことのができなかった姿の象徴だ。そしてまた彼女はひたすら孤独であり続けた。“I’ll go my way by myself・・・・I’m by myself alone”。
レニー・ゼルヴィガー。
サントラ聞いたけど、これはあのジュディではない。ジュディを自分のものとしている!ジュディまではいかないけど(笑)、レニー・ガーランドにはなっている。
映画の中のジュディは46か47。しかし、年齢以上に老けた役作りをしたのは、実際のジュデイその人がそうであったためだろう。レニーの表情や所作の一つ一つが、蝕まれた彼女の姿を年齢以上に老いてしまわざるを得なかったジュディの姿を演じ切っていた。
もう一つ言えば・・・ミッキー・ルーニー。似ていたな!www
しかし、これを見てから、彼女はどういった人なんだろうって気になっちゃって気になっちゃって、今はどハマり中。
オズの魔法使い の人!ってイメージだったけれど今じゃミュージカル界のプリンセスだなって思う。
女性らしい体型で、綺麗な髪の毛、そして、子どもらしい元気らしさ。ギャップのある大人っぽい歌声。
あの若く愛らしかった彼女が、ここまで落ちてしまった理由とは、を表ていた。
映画界の隠れた暗黒世界を直では表されないが察しることができる。ラストタイクーンと合わせてみるとなんか繋がって見えるかもしれない!
最後の最後のラストショーは、すごい圧巻だった。
愛をどう見つけるか。どこを第一優先にするか、、、
ずっと葛藤の中で生き続けていたんだなと。
もっと彼女のことを知りたい。。。
Reneeのジュディがジュディとして生きていた。
アカデミー賞受賞した理由がわかった。
長生きするには心が弱すぎました。