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コンプリシティ 優しい共犯評論(13)
2020-14
国際事情や貧富の格差など、現代社会と生きることの本質をじんわりと問いかける。
展開に唐突感やあれはどうなったと繋がりで少し気になるところはあったが、全体を通して登場人物の感情を丁寧に撮っている。
特に主演のルー・ユーライの自然なか弱さと、藤竜也の渋すぎる佇まいの掛け合わせは深みがある。
ストーリーは直球だが純朴さを感じる。蕎麦屋の亭主はもっと頑固で威厳があってほしかったが、最初からすんなり優しすぎた。心を通わせていく過程がもう少しあっても良かったか。
ちなみに、最後のオチにはちょっと面食らった。ヒット作にこう掛けてきたかと。笑
静かな作品だと思ってたけどカメラワークがぐるぐるしてて目が回る。内容があまり入ってこなくてただ目が回ってました。
結局新人監督が有名?な人を起用して何となくいい映画風な作品を撮ってみました的な感じが見えてつまらなかった。
きっとこの監督さんは是枝監督や西川監督が好きなんだなーって思った。
「技能実習生や不法滞在者がテーマの社会派映画」とは言えないだろう。社会問題として、何かを告発しようとする作品ではない。
もちろん、“そば屋 青春物語”でもない。
「共犯」という題名も、リャンとそば屋の主人との「共犯」という意味なら、内容を的確に表していない。
にもかかわらず、自分は時間を忘れて、このかなり単純な映画に見入ってしまった。
そして終わった後、「なぜだろう?」と自問した。
まず当然ながら、“なりすまし”ゆえに、常に緊張感が解けず、危うい“均衡”の上で進行するストーリーには目が離せない。
しかしそれだけでなく、話の流れや俳優の演技がとても自然に感じられるとともに、一つ一つの情景が妙に心に“しっくりと”くるのだ。
リャンが、少しずつ“そば職人”として進化し、そば屋の主人と“親子”になっていく過程は、繊細に描かれる。
リャンに積極的にアプローチする画家の女は、いかにも現実にいそうだ。
フラッシュバックされる、リャンの郷里のお婆さんや母親の様子にも、とてもリアリティがある。
そして何よりも、心ならずもそば屋になったとはいえ、真面目に取り組むリャンに対して、こちらが“肩入れ”してしまう。
別に珍しいことではなく、例えば「ルパン三世」は泥棒なのに、ほとんどの人は、なぜか拍手喝采し、熱烈に“肩入れ”するだろう。
しかし、この作品には、「ルパン三世」のような善悪を超えた過激な感情とはまた違った、「優しい」感覚を自分は感じた。
“観客”こそが、リャンと“適度な距離感”をもった「優しい共犯」関係になる。演出の妙だろうか?