アダムス・ファミリー

ネタバレ！ クリックして本文を読む
あのおぞましく不気味な得体の知れない一家が新しく3DCGIアニメーション・ブラックコメディとして蘇ってきた。

Daring, bring that to me. Strange, there's usually a murderous clown
attached to the other end of these.
娘のウェンズデーが赤い風船を持って居間に現れた時、母親のモーティシアのセリフが少し場違いに感じた。そのことは2013年のスティーブン・キング原作の映画「キャリー」や2017年の映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」に対するオマージュとして受け止めるべきで息子のパグズリーの声を「It... 」に出演していたフィン・ヴォルフハルトが演じているのもその理由の一つ。

新しい3DCGIによる映画の共同ディレクターであるコンラッド・ヴァーノンは、デッドラインのインタビューに「 映画の見方として素晴らしいオリジナルのチャールズアダムスニューヨーカーの漫画を描くことが出来た。」と語っている。それに関しては、ゴメスとモルティシアの車のナンバープレートに「CHAS 1938」と記載されていて” Chas”は、1938年にニューヨーカーの新聞でコミックを始めた「アダムスファミリー」の作者、チャールズアダムスのニックネーム。そしてアダムスファミリーが住む屋敷の場所のニュージャージー州は彼が育ったところでもある。(GRAVEYARD SHIFTより)

Don't cut your eyes on my crew unless you're ready to dance.
- What did you say little ghoul?
I don't think you understand. I'm not locked up in here with you,
Bethany. You're locked up in here with me....
- You shouldn't have said that.
- There's nothing you can do. Bethany's way too popular.
Popularity is fleeting. I prefer to set my sights on something a little
more challenging.... The establishment.
いじめっ子をぎゃふんと言わせるウェンズデー、パーカーとの友情を育むウェンズデー。いつも落ち着いてにこりともしない彼女が、温かいという彼女にとってはと言うよりも人間にとって必要なものが芽生えた一段階も二段階も女性らしく成長をし、その一方で弟のパグズリーがアダムスファミリー親戚一同の前でマズルカを成功させることが出来るかが本編の主なシナリオとなっている。

すべての子供たちがメディアとテクノロジーの世界で繁栄するのを支援する非営利団体：Common Sense Media がこの映画の事を端的に語っていた。 "まあ、まあシナリオとしては、怖さも多少なりともあるけど不気味ではなく、変わっている" と... そして、何よりも視聴可能年齢が、サイトも含めて親御さんや子供さんの意見から7才からが望ましいとされている。　 その事は何を意味するのか？　大人からするといたって他愛もない映画としても、コモンセンス・メディアが言うところでは、前向きなメッセージとして、こう語っている。「映画 "アダムスファミリー" は、あなたと外見が異なる人を受け入れ易くし、全員に"こうなりなさい"、"ああなりなさい"と強制しないようにしています。パーカーとウエンズデーが、それぞれ持ち前の方法で難関に挑戦しますが、無条件に愛されていると感じながら、自分達の限界を試す時に大人に認められたいと思っています。チームワークやお互いを思いやる"こころ"がキャラクターの強みであり、ストーリーにとって重要です。」と... 大人になって、忘れてかけている幼い時の自分の限界を知った時の 回帰的な作品として、その事が、決して後ろ向きではない心温まるストーリーの流れやモーティシアとゴメス夫婦の多少、愛情過多な部分も見受けられてもユーモアの範囲内での話しで、ストーリーが分かり易く、カタルシスも与えてくれるシナリオの素晴らしさも感じられる...　映画の持ち味として

大人の批評家からのあまり高いと言えない支持に加え、大人の観客の反応は薄いにもかかわらず、嫌らしい話かもしれないけど、具体的な映画の評価の数字化した指針と考えるなら、バジェットの軽く8倍の興行収入を得ている本作。政治的な問題や個別の宗教が抱くLGBT拒否反応が起こす問題などで子供の見たいという心や無垢な意見を無視して上映禁止にするような大人の断罪という憂き目にあっている世界的規模の風潮にさらされているアニメ業界。ライカのように単純にバジェットを大幅に引き上げた無謀な行為は別にして、他人を差別しても平気な上に、予期しない大誤算な映画作りをすることで、その国の文化および宗教観を無視したまま反省することなく我先に先陣を切って公開された作品から比べると成功したアニメーションという事ができる。それが、子供の目線で描かれ、昔から受け継がれたユーモアで決して人を区別することなく、かけがえのない友情物語と未来に必要な子供たちの自立心を表現している映画として「アダムスファミリー」の製作者の機知を知ることができ、ただコメディというジャンルのアニメでは終わっていない。　　COVID-19の最悪な状況下においてもの話として...

またまた吹き替えの嵐。集客には仕方なしとは思いますが、何とかならないでしょうか？遠方の字幕上映館まで足を運ぶしかないでしょうね。映画ファンが遠のきます。いつの間にか、日本人は字幕嫌いになってしまたったのでしょうか？

アダムスファミリーのアニメって、すごく楽しみにしてたのにモーティシアとウェンズデーの声を聞くたびにえ〜ってなった。まあ低めのトーンなのはわかるけど、もっとやりようはなかったのかしら？見てて私ならこうするとまで思いながら見るのはつまんない。吹き替えするならオーディションするとかして上手い人にやらせてほしい。
でも全体的にはやっぱり好きな世界。

2010年に『ミニオンズ』『グリンチ』などで知られるイルミネーションが映画化権を取得し、その後ティム・バートンによって『ぼくの名前はズッキーニ』『フランケンウィニー』のようなストップモーション・アニメとして製作される予定であったが、企画が中止になっていたものがMGMにわたり、今回の映画化に至った。

モーティシアの声優としても参加しているシャーリーズ・セロンの製作会社、デンバー・アンド・デリラ・プロダクションズも製作として参加している。

予告で「初めてのアニメ化」といっているが、これは間違い。長編としては初めてだが、無名時代のジョディ・フォスターが声優として参加していたテレビアニメが1973年に製作されている。

今回は1930年代の一コマ漫画やその後シリーズ化された原作の絵のテイストそのままに映像化しており、ファミリーの他にもコミックやアニメシリーズでお馴染みのサブキャラクター達も多数登場する。

ちなみにスヌープドッグが声優を務めるイットという、メガネをかけた髪の毛のキャラクターはテレビシリーズにも登場していたキャラクターである。

アニメという特性を存分に活かして、アニメにしかできない演出で90年代の実写版の頃と比べれば、表現の幅は圧倒的に広くなっているはずなのに、控え目な内容となっている。

舞台設定が現在にされ、ストーリーも現代風にアップデートされているのだが、物語自体が現代であることに意味があまりないだけに、勿体ない部分の多い作品である。

モンスター一家と人間社会の対立の末に、理解し合うという王道のストーリーから抜け出せていないし、設定だけのおもしろさで押したとしても、近年では『モンスター・ホテル』『プチバンピ』『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』『ダーク・シャドウ』などホラーキャラクターのコメディも沢山製作されていて、目新しさというのはあまりない。

それらの作品のルーツとしては『アダムス・ファミリー』に行きつくのだが、本家が出遅れてしまったのが痛いところだ。

すでに続編が2021年公開予定とされているが、続編ではもう少し大暴れしてもらいたいものだ。