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黒帯 KURO-OBI評論(2)
満州が建国された頃、空手は文化事業の一環として保護されてきたが、やがて憲兵隊がやってきて「道場を供出せよ」と迫ってくることになった。「ならば試合で!」といささか短絡的な展開だったけども、理不尽な接収に対抗する彼らの姿にすでにのめり込んでしまう。憲兵隊長(白竜)の日本刀対素手の空手。しかし、道場師範である柴原英賢(夏木陽介)の教えは“先手攻撃せず”であり、全て受身態勢であることなのだ。3人の弟子のうち大観は教えに背き、相手を打ちのめす。もう1人の義龍は忠実に守るが、「恥をかかされた」と隊長は自害。その後急死した師の黒帯を継ぐ者は誰になるのか・・・といった物語です。
イカサマ賭博のヤクザが借金のカタに娘をさらい、慰安婦として憲兵隊に提供する。それを取り戻すといった、TV時代劇のようなストーリーではあるけど、見どころは全く別のところにありました。とにかく本物の空手!ここを突けば死ぬことになる・・・などとケンシロウのような大観の空手技。先手攻撃しない義龍はジャッキー・チェンの組み手のよう。一瞬の突きで相手が倒れるスピード感は日本の空手ならではのものだ。さすがにラストの弟子同士の闘いには作られたものが感じられるけど、それまでの数々の試合が圧巻なのです。
この映画を作った動機どいうのが、チャウ・シンチーやトニー・ジャーから日本の空手映画が見たいと言われたからだそうで、おかげで世界にも誇れる日本の空手を目の当たりにすることができました。それに、主人公2人は俳優でもないのに、演技だってかなりのもの。そして、憎き憲兵隊の大和田伸也や白竜が盛り上げてくれました。
【2007年12月映画館にて】
主演の二人はその後、YouTubeでも観られる「黒帯ワールド」という動画で技の解説などもされているガチの空手家。
個人的にはYouTubeを先に知ってたので、アクションシーンでも「お、これがYouTubeでやってたアレかー」なんて思ったけど、何の予備知識もなく本作を観てたらどう思っただろうってのはある。
つまり、リアルであることが必ずしも映画的にとってプラスに反映はしないし、もっと単純に撮影する側がアクション映画に慣れてないせいか、折角の「本物の迫力」がしっかり伝わってこないんだよね。
ストーリーの方はお粗末の一言。
時代は多分、太平洋戦争前夜って感じだろうけど、舞台もキャラも背景も設定も、すべてが何かの切り貼りでしかないし、本作ならではのテーマらしきものも一切ない。
余分な設定を入れ過ぎて話が採っちらかって収集ついてないしね。