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男はつらいよ 翔んでる寅次郎評論(9)
桃井かおりが北海道を旅するなんて、まるで山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』(1977)じゃないか!と、そこに高倉健ではなく渥美清と出会うという混乱しそうなストーリー。女を暴力で手にしようとする旅館のボンボン・湯原昌幸がいい味出していた。ある意味、武田鉄矢の立ち位置か?
結婚式のお色直しの際に式場から逃げ、タクシーに乗り込んでとらやまで駆けつけるというストーリー(タクシー代は4600円)。成田離婚という言葉が流行ったのは90年代ですが、今となれば、この物語は時代を先取りしていたとも感じます。
マドンナに関しては、それほど「好き」という感情を出さなかった寅さん。むしろ家族的な接し方をしていたように思います。また、満男の作文とか、夢落ちシーンの便秘薬とか、何かと印象に残る作品。そして強烈なのはおいちゃんの一言「あいつのは意見じゃない。偏見だ」
2019年、問題となっている「桜を見る会」。ホテルニューオータニでの豪華な結婚式ではあったけど、交渉次第で5000円になるような気がする(笑)
シリーズ23作目。
OPの夢は、
世間から「変人」「やぶ医者」と呼ばれる寅次郎博士は、長年便秘解消薬の研究に没頭している。そして遂に、薬が完成し…!?
序盤の騒動は、満男の作文。
両親の馴れ初めについて書き出すも、伯父さん(寅さん)の恋愛事となると母はいつも悲しい顔になるという。
満男はしっかり見ているが、寅さんは不機嫌に。
旅先は、北海道。そこで、ひとみという若い女性と知り合う。
ナンパ男に絡まれている所を助ける。
「女を口説くんだったらマシな口説き方があるだろ」「どうした、二枚目」…こういう時の寅さんはサラリとカッコいい。
寅さんとひとみは同じ宿屋に泊まる事になるが、その宿屋の主人がナンパ男!
ナンパ男の弱みを握り、散々ワガママ言う寅さん。果たしてどっちが迷惑掛けてるのか…?
宿屋にて、ひとみの事情を聞く。
田園調布のお嬢様。(寅さんは“田園地帯”の農家の娘と勘違い)
近々結婚するが、それが悩み。所謂マリッジブルー。
ひと通り話を聞き、結婚の後押しをしてやる寅さん。
東京に帰り、結婚式に臨むひとみ。
が、どうしても…。
結婚式の最中、ウェディングドレスのまま逃げ出す。
行き着く先の無い困ったひとみは、とらやへ。たまたま帰っていた寅さんと再会。
少々浮世離れしてるのか、それとも何処か“翔んでる”のか。
マドンナ・ひとみに、『幸福の黄色いハンカチ』に続いて山田作品参加の桃井かおり。
よくよく聞けば、はた迷惑な話。
一方的に結婚式を逃げ出し、余所様の家にご厄介。
さらに、結婚する予定だった青年と“恋”をする。
何だか変な話。
相手も好青年。ひとみの事が忘れられない。裕福な生活を全て捨て一人暮らしを始め、慣れない仕事の傍ら、とらやのひとみの元を何度も通う。演じるは、布施明。
ひとみも決して相手が嫌いな訳じゃないのだ。
始めからやり直し、今度こそ。
ラストは二人の“二度目”の結婚式。
格式張った結婚式より、寅さんたちや気心知れた面々集った結婚式に心温まる。
またしても、若者カップルの恋のキューピッド!
劇場公開日 1979年8月4日
渥美清51才
倍賞千恵子38才
桃井かおり27才
布施明32才
湯原昌幸32才
寅さんは北海道で桃井かおりと知り合う。
後に東京で結婚式を挙げていた桃井かおりはこの結婚が嫌でタクシーに飛び乗って会場を後にする。
そのまま寅屋に逃げ込むことになる。
後日、新郎の布施明は寅屋を訪ねて来る。
桃井かおりは布施明のことをよく知らずに結婚を承諾したのだが、新郎の人柄を改めて知ることになる。
あらためて、この人と結婚したいと思うようになる。
脚本に大きく波がある「男はつらいよ」のシリーズだが、
この作品はちゃんとした人情噺で、ラストには泣ける場面がある。
上映時間は107分。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。