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大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン評論(10)
シリーズ2作目。1966年の作品。本作からカラーに。
2作目から“大怪獣決闘”モノで、舞台は大阪…あちらとの酷似はこの際いいとして、
話は前作の後日談。
半年前、日本に上陸し暴れ回り、“Zプラン”によって宇宙へ追放されたガメラ。
が! ガメラを封じ込めたロケットが驚異的な確率で隕石に衝突し、自由になったガメラは地球に舞い戻る。
そして何故か小さな島国・日本の黒部ダムを襲ってエネルギーを蓄え、再び何処へ飛び去った…。
序盤はツッコミ所多々だが、人間ドラマはシリアスな雰囲気になる。
自らの飛行機会社設立を夢見るパイロットの圭介は、今の会社を辞め、兄の計画に参加する。
戦時中、パプアニューギニアのジャングル奥地の洞窟で見付けたオパールを隠したという兄。戦争で足を負傷した兄に代わり、圭介と他2名で手に入れに行く。
現地に着くと日本語が話せる村の女・カレンに止められるが、制止を強引に振り切り、ジャングル奥地の洞窟を目指す。
遂に辿り着き、オパールを発見。喜びに沸くが、一人が毒サソリに刺されて死亡。それがきっかけでもう一人が裏切り、洞窟を爆破してオパールを持って逃げてしまう。
圭介はカレンに助けられ、「恐ろしい事が起こる」と怖れるカレンと共に日本へ。
実はオパールは…。
裏切り者が乗った船の中でオパールが赤外線に偶然当てられ、変化。
そしてその中から誕生する。
パプアニューギニアの魔境、“虹の谷”の伝説の怪獣、バルゴン!
オパールだと思っていたそれは、バルゴンの卵だったのだ。
急速に巨大化し、大阪で暴れ回る…。
バルゴン登場までの人間ドラマが前作から売って変わってアダルトな作風。
宝石に目が眩んだ欲深い裏切り者。
洞窟で仲間の一人の足に忍び込んだサソリを黙認。
日本に戻りうっかり洞窟で起きた事を口を滑らし、圭介の兄に問い詰められた挙げ句、殺める。
圭介と因縁の再会。取っ組み合い。
怪我した圭介の傷に口を当てるカレン。これ、本当に昭和ガメラだよね!?
終盤、対バルゴンのある作戦の最中、再び裏切り者が乱入。
欲と醜態の末路は…。
昭和ガメラでは唯一、子供が出て来ない。
その為公開時、観に来た子供は退屈し、怪獣が出てくるまで劇場を走り回ってたという逸話があるが、個人的には昭和ガメラで人間ドラマ部分は一番面白い。
言ってしまえば本作、“虹の大怪獣バルゴン”だけでも成り立つ話である。
長く伸びた舌の先から出す冷凍ガス、背中のヒレから出す虹の光線…バルゴンの猛威は圧倒的。
人類は“ダイヤモンド作戦”“人工雨作戦”“バックミラー作戦”で挑む。
前作以上に人類と怪獣の闘いが描かれていた気がした。
後一歩で倒す事が出来ない。
そこへ現れたのが、ガメラ。
寒さに弱いガメラはバルゴンの冷凍攻撃で一度は敗れるも、復活し再戦。
昭和ガメラの鉄板となるこの図式も本作から。
本作のガメラの立ち位置はまだ人間の脅威寄り。
しかし、更なる脅威が現れると、闘ってくれる…ゴジラでもお馴染みの怪獣映画の定番。
前作が大ヒットした事により、予算がアップ。それは特撮面で充分窺い知れる。
序盤の黒部ダムセット、メインの大阪セット、クライマックスの琵琶湖セット…大規模なセット。
一瞬にして凍る冷凍ガス攻撃、カラーを意識した虹の光線の特撮の見せ方もアイデア駆使している。
また、ガメラとバルゴンの闘いは基本四足で。これはゴジラ映画では無かった。
本作のみ特技監督を務めた湯浅憲明監督のこだわりで、動物らしさが出ている。
ワニとオオトカゲを合わせたというバルゴンの造形もまさにそう。
人間ドラマも特撮も昭和シリーズ随一。
人間のエゴが怪獣を目覚めさせる…という怪獣映画の真のテーマもしっかりと。
やはり、昭和ガメラでは一番!
本作は公開時、『大魔神』と同時上映だったとか。
何と贅沢な!
神戸に現れた怪獣バルゴン。そのトカゲの怪獣の口から吐き出す液体は一瞬にして万物を凍らせてしまうのだ。しかも背びれからは虹色の光で攻撃。その光に反応して大阪上空にガメラが登場。炎対氷といった構図も面白いが、白と黒の背景に光る虹はとても奇麗。そして、あっけなくガメラは凍ってしまう・・・
水に弱いため、5000カラットのダイヤを湖に沈め、バルゴンを誘導する作戦。カレン(江波)がニューギニアの部落から持ってきたことにも驚きだ。しかし最初は失敗。殺人光線によってダイヤの光を増長させるしか方法がなかった。しかし・・・
平田の兄夫婦も殺した殺人鬼となってしまった小野寺。ガメラ対バルゴンよりも、平田対小野寺の方が迫力あった。宝石に目がくらむ愚かさといい、暴力的になってしまうところといい、怪獣よりも恐ろしいのは人間。琵琶湖に沈めるための時価200億円のダイヤにも小野寺が反応してしまうのだ。ダイヤを奪った哀れ小野寺はバルゴンに食べられちゃった(笑)
失敗を続けた作戦・・・最後にとったのはバックミラー作戦。虹を出させて自滅させる。しかし、それもダメ。そうこうするうちにガメラが復活して湖に誘ってくれた。結末まで、なんだかな~という展開だったけど、B級探検ものもあり、人間の欲深さを思い知らされる映画でもあった。平田とカレンの暗いがほのぼのとした恋愛を予感させるエンディングも・・・
全体的にハラハラ感があっていい
一方、火星に飛ばされたガメラはカプセルに隕石が衝突、地球に帰ってくる。
人間の攻撃を待っているバルゴンがいじらしい。
バルゴン登場シーンは中々に素晴らしい。でも目が可愛い過ぎw 戦車も戦闘機をサクサク登場して展開が速い。報道や司令部の描き方も抑揚が効いてて渋い。何度も対怪獣作戦を描くという硬派っぷり。シンゴジラはこの作品をチェックしているのでは?と思ったよね。
ただガメラとの対戦シーンは重力が無い如くフワフワ気味。結末もアッサリ。ガメラはどっか飛んで行っちゃったきりで完。それでいいのかw
完成度は高くはないけれど、ただの子供向けでない内容は一見の価値あり、かもです。