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昭和残侠伝 吼えろ唐獅子評論(1)
今回も重かった…。
もう雁字搦めのように「渡世の仁義」がのしかかる。いや…そおいう既存のシステムを悪用する輩がいるからこそなのか。
なんせ、理不尽極まりない世界で、それでも仁義を守り続ける秀次郎が不憫でならない。
なんか、今作は「しきたり」が結構分かりやすく描かれてたように思う。軒先で切る作法もそうだが、賭場へ入る時とか旅先での礼儀とか。面子が命の世界故、トラブルを極力避ける為に出来上がったものなのだろうと推察するが、いやはや、忖度って言葉はここから出てきたのかなあと思い程だ。
「忖度」って言葉自体は元々は良い言葉だったのだろうなぁと思う。
まあ、とにもかくにも悪役共の傍若無人さが度を越していて、ラストに健さんが「仁義もクソもあるか!」みたいな事言うんだけど、もう色々手遅れだった。
今更感しかないんだけれど、これも渡世の仁義故なのだろう…あんまりスカッとしない。
ただ、ラス殺陣は凝ってた。
バク転なんかが入ってて「ぶち壊しだよ!」と思うのだけど、当時としては画期的だったのかもしれない…俺は嫌いだけど。
なんつうか、泥沼に腰まで浸かってそれでも歩かなきゃいけないみたいな感じが蔓延してて、肩が凝る。
その分、その世界での生き様みたいなもんが色濃く出てた作品だった。
一作目から健さんと池部さんがコンビなんだけど、まあ色々と異なる関係性を披露してくれて楽しい。今作はあまり深い関係性ではなく顔見知り程度なんだけど「類は友を呼ぶ」というのか、引き合う似たもの同士みたいな事で、楽しかった。
そして…松原智恵子さんが、超絶美しい。
いいですか?
超絶に美しい。大事な事だから2回言う。
富司純子さんこそ至高と思ってたんだけど、右に出る人がいたとは…眼福でした。
昔の俳優さんって、特に女優さんは品がある。今の女優さん達には感じた事がない。
アイドル文化のせいなのか、席巻するバラエティ番組の余波なのか…良くも悪くも俗世にまみれてる。
たぶん今の俳優達の方が、品行方正だとは思うのだけど、当時の粗さは全く画面に出てこない。造られた人物として素直に受け入れられるような印象だ。
現代では写真週刊誌や、SNSやら何かと監視の目が行き届いてるから窮屈で仕方がない。もう今となっては無理な話だけど、隔絶されてたからこそ可能だった事もあると思われる。
華々しい芸能界なんて今は昔だ。
今は客寄せパンダの集団のようだ。
全くもって、嫌なご時世だぜ。