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無頼無法の徒 さぶ評論(1)
小林旭の1964年の日活作品だが、山本周五郎の名作の映画化だからか、従来のアクションとは違う文芸作品の作り。
ワンパターンの演技が多かった小林旭も、これまで見てきた作品の中では一番いい演技を見せる。最も、長門裕之はもっと凝った演技で魅せるが。
男前の栄二とウスノロだが純粋なさぶ。10年以上兄弟同然に共に生きてきた二人。ある時奉公先で盗難事件が起こり、栄二に疑いが…。
さぶは栄二の代わりに罪を被ろうとするが、その嘘の告白を信じ込んだ栄二は、さぶを激しく憎む。
冤罪は晴れず人足寄場送りになった栄二は、さぶへの復讐を生きがいに脱走しようとするが、寄場で起きたある事件が栄二の復讐心を変えさせる。
そして二人は久し振りに対面。
嘘の告白の際にさぶがもらした本音。「本当は栄ちゃんを憎んでた」
栄二もまた、これまでずっとさぶを庇い続けながら、内心さぶを馬鹿に続けてきた。
それでもさぶは、栄二が居なければ何も出来ない、と…。
友情の中に潜む憎悪、盗難の犯人も愛故の嫉妬。
深く鋭い山本周五郎の人間洞察。
映画もそれに応え、なかなか悪くない。
2002年には三池崇史監督、藤原竜也&妻夫木聡共演でドラマ化され後に劇場公開。
こちらはより青春ドラマの仕上がり。