街の唯一の財産である百万本のワインを、ドイツ軍の掠奪から守ろうとするサンタ・ビットリア住民の活躍をコメディ・タッチで描いた作品。監督・製作は「招かれざる客」のスタンリー・クレイマー。ロバート・クライトンの原作を、「招かれざる客」でオスカーを手にしたウィリアム・ローズが、ベン・マドウと共同脚色。撮影は「家族日誌」のジュゼッペ・ロトゥンノ、音楽はアーネスト・ゴールド、特殊効果はダン・リーが担当。出演は「日曜日には鼠を殺せ」のアンソニー・クイン、「蛇皮の服を着た男」のアンナ・マニャーニ、「女と男と金」のヴィルナ・リージ、「ネレトバの戦い」のハーディー・クリューガー。他にバレンティナ・コルテーゼ、レナート・ラスチェル、ジャンカルロ・ジャンニーニなど。テクニカラー、パナビジョン。1968年作品。
サンタ・ビットリアの秘密評論(1)
このお調子者、ボンボリーニ(アンソニー・クイン)。
女房には頭が上がらないが、ワインを守って町民たちのプライドを衛った男。
最後は泣けてくるこの“リレー”は、ファシストに抗する庶民の素朴な闘争だ。
今この時にも、人間の尊厳のために権力と闘う民衆が世界各地にいる、
しかし翻弄されながらも、命とプライドを守る人々の、なんだろう、あの不思議な明るさといったものは。
・ガンジーは塩の行進
・公民権運動のバスボイコット
成田、福島、辺野古、etc.
ドイツ軍を迎える町民の無言のシーンが好きだ。あの顔顔顔・・から伝わる民草の命。
丸木位里・俊の大作「焼津」のように人間存在の輝きとその尊厳性が言葉無しに迫ってくる実にいいシーンだ。
ボンボリーニは、行動を起こす前に、勝利の先取りの感謝をば笑顔で神に捧げた・・
必ずいつかは勝利するwe shall overcome と信じる民衆の、粘り勝ちの記録だ。
愚か者の勝利だ。
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初DVD化です♪
アンソニー・クイン主演でありながらずっとテレビサイズのVHSしか存在しなかった名画。
横長の画面でついに復活です。
ニュースを知り、Amazonに予約をしてようやく30年待ったDVDを手に入れました。
思えば僕がワイン工場に勤めることになった時、父がこの映画を薦めてくれたのです。
遥かむかし、若い頃に父が観て記憶に刻まれたという本作品、
ネットも無かった30年前に、父が映画評論家に手紙を書いてくれて、どうしても思い出せなかったという題名を息子=僕のために突き止めてくれた本作なのです。
映画好きの父の想いを、永い年月を経て、ワインの瓶のようにこの掌に手渡してもらえたような、幸せな鑑賞後感です。
勝利の美酒はCINZANOですね
サルーテ!