「絶壁の彼方に」のアレクサンダー・コルダが指揮した一九四〇年度色彩映画で、弟のゾルタン・コルダ(「ジャングル・ブック」の監督)と美術監督として有名なウィリアム・キャメロン・メンジースが協同製作する。「熱砂の秘密」のラヨス・ビロがストーリーを書き、脚本家兼俳優のマイルス・メールスンが脚本・台詞を執筆、ウィーン派のルドウィッヒ・ベルガー(「ワルツ合戦」)と「黒水仙」のマイケル・パウエルが協同監督した。撮影はジョルジュ・ペリナール、音楽は「白い恐怖」のミクロス・ローザが担当する。出演者は「ジャングル・ブック」のサブウ、ヴェテラン、コンラート・ファイト、「四枚の羽根」のジューン・デュプレエ、舞台出身のジョン・ジャスティン、「緑の牧場」のレックス・イングラムら。なお本映画は一九四〇年のアカデミイ賞で、色彩撮影、美術、特殊技術、音響効果の四部門賞を得た。
バグダッドの盗賊(1940)評論(1)
当時としては驚異的な映像であったのだろう
現代の視線からも観る意義を感じるのはバクダッドやバスラの街並みのセットや帆船の美術、アラブ風の衣装などだろう
物語自体は凡庸で大したひねりもなく、はっきり言って退屈だ
では、何が一番の見所かというと王女役のジューン・デュプレの美しさだ
アラブの異国情緒溢れるメイクアップ
切れ長の力のある目、細い長い眉、濃いアイシャドウ、白い面長の顔、細い肩と腰、長い手足
どこかで観たことあるはずだ
まるで松本零士の漫画に登場するヒロインそのままの容姿なのだ
ひょっとしたら松本零士の美女のイメージはここから来ているのかも知れない
本作はその彼女の息を飲む美しさだけでも観る値打ちはある