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プラトーン評論(20)
戦争映画が苦手な自分にとって、
名作「プラトーン」はリアルでエグい戦争映画だと
敬遠してたけど、
バーンズとエイリアスの確執を軸に
とてもエンタテインメントしてて観やすかった。
当時はリアルだったのかもしれないけど、
今観ると丁度良い戦闘シーンだった。
高校の時に観た「プライベートライアン」は
テーマが何だったか思い出せず、
エグ過ぎるという記憶しか残ってない。
その点プラトーンは疑心暗鬼と不安と恐怖、
戦争の正義なんてどこにもない
と言うのがよく分かった。
ジャケットにもなってる絵はてっきり
チャーリーシーンかと思ってたら、
ウィリアム・デフォーで驚いたし、
めちゃカッコ良かった。
ベトナム戦争下ではバーンズの方が正しいような
気もした。
狂ってる。
当時は戦争後の兵隊のPTSDなんて知られてなかった
と思うのだけど、
今観ると、この後主人公がモノローグのように
正しい人生を送ったように思えないのが、
なんとも悲しかった。
小学生の時に鑑賞し、内容はよくわからないながらもたいへんな衝撃を受けた映画です。
午前十時の映画祭で上映されていたため、よい機会なので再鑑賞。成人してから観ても、十分に衝撃受けますね。
オリバー・ストーン監督の実体験を基にした映画とのことで、とてもリアルな映画だったと思います。真実のところはわかりませんが、細部にわたって生々しく、ベトナム戦争はこんな感じだったんだろうな、という雰囲気が伝わります。
リアルさは、人間関係にも出ているように思います。兵士全員が戦争に適応して狂ってるわけではなく、エリアスみたいに理性を保っている人もいる。村の焼き討ちのときは、もっと凄惨な結果になると思っていましたが、民間人を殺すと軍法会議にかけられる等、ブレーキをかける兵士の方が多く、それがリアルに思えました。民間人殺害で揉めるエリアスとバーンズ、レイプを咎めるテイラー、子どもたちを抱えて移動する兵士たち。バーンズみたいに狂わないと適応できない戦場で、ギリギリで人間性を保とうとする姿勢からは、人間が持つ粘り強さを感じます。
葛藤できるって高度ですよね。同じベトナム戦争映画でも、全員狂人の『地獄の黙示録』とは違う印象を受けます。あっちは、みんなアタマがやられちゃって誰も葛藤できない。
登場人物の行動も、しょうがないよね、無理もないよね、と思えるものばかりでした。バーンズはわかりやすい悪役ポジションですが、戦争に適応していけばああなるのも自然だと感じました。テイラーの終盤における決断も理解できますし。劇中のさまざまな行動が、「そうしちゃうよね」「せざるを得ないよね」と思えてしまうのが、リアルさにつながっているように感じます。
で、そんな風に思えてしまうことが、戦争を筆頭にした人為的に作られた異常な環境のヤバさなのでは、なんて考えています。
戦争モノはあれこれ考察するより、ヤバい体験を実感するほうが、私の場合は意味あることのように思えるため、ダラダラ考察はこの辺で。
すげー体験でした。
演者について。鑑賞前はチャーリー・シーンを見るたびに「マイポルノファミリー(笑)」とか思ってジワるのでは、と想像してましたが、ぜんぜん。物語の吸引力が凄いため、事前の不安(?)は杞憂でした。ジョニデはどこに出ているのかわからなかったです。
午前十時の映画祭で、30年ぶりに観賞。
ベトナムで米兵は何をしたか…をオリバー・ストーンは描いたという。
戦場で行われた狂気の沙汰は、ベトナムでの米兵に限らず、繰り返されたこと。
日本兵も中国人や朝鮮人に同じような愚行をしでかしている(と、伝えられている)。
人間の愚かな本性なのだろう。
「地獄の黙示録」のような極端な狂気の世界ではなく、単純な、善悪の境を見失った男達とその一歩手前で踏みとどまった男達の物語で、解りやすい。
本来優しい目元をしたトム・ベレンジャーが顔に傷をつけて歴戦の勇士である凶行の曹長を、
強面のウィレム・デフォーがそれを制止する対立の曹長を演じる。
このキャスティングは逆転の発想のように感じた。
映画は過酷な戦場風景をリアルに淡々と描いているようで、
一人敵兵の側面に迫ったデフォー曹長をベレンジャー曹長が追う場面では、
サスペンス感溢れる緊張の演出が見られる。
そして、デフォー曹長の壮絶な最期がクライマックス以上に印象的な名シーンとなっている。
語り手役のチャーリー・シーンは、
とうとう自ら処刑を敢行する。
狂気のベレンジャー曹長は、多くの味方を救っている勇士でもあるのだ。
正義が存在しない戦場で、彼もまた殺人者となった。
「地獄の黙示録」でウィラード大尉を演じた父親のマーティン・シーンは、
やはり本編の語り手であり、カーツ大佐を暗殺する。
こちらは、そもそも暗殺することが指令だったのだが。