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ワイルドバンチ評論(15)
ストーリーは明日に向かって撃て、に似ているけれど、映画の主張はかなり違うと思う。 明日に向かって撃て、は世の中に居場所なんてないから、全てを諦めて世捨て人になろうぜ系の中二病ロードムービー。全く救いが無い。
ワイルドバンチは、世の中のエゲツなさを西部劇に反映してみました系、リアリズム追求型ムービー。最後、ウィリアムホールデン、アーネストボーグナインが男気を見せ、救いのある感じで終わる。世の中はクソだけど、居場所はちゃんとあるんだぜ!ということ。納得。
パイクとソーントンの関係はビリー・ザ・キッドとパット・ギャレットに近いものが。
そんなに深い仲でも無いように思えたエンジェルの為に無謀な行動に出る四人の考えが解らん!?
暑苦しい粗野な男たちとコレまた暑苦しいペキンパーが罪の無い弱者まで撃ち殺す節操のない西部劇!?
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
舞台は1913年というから、すでに飛行機が飛び機関銃が製造され翌年には第一次世界大戦が始まるという近代社会が始まっている時。西部の無法の時代も終わりを迎えようとしている中、時代に取り残された最後の犯罪者たちの生き残りを描く。
映画の製作は1969年と決して新しいものではないが、刺激の少ないこの時代の多くの映画と異なり、残酷な犯罪者が残酷な殺し方を直接的に平気で見せつける。登場人物たちも完全正義なものなどいなくて、強盗をする犯罪者や将軍という地位を使用する極悪人や死体からものを剥ぎ取る小悪人で溢れかえっている。だがそのような容赦ない描写がかえって現実性を高めて、作品の緊張感と質感を高めて視聴者に迫ってくる。
激しい銃撃戦で銃弾を浴びる人物をゆっくりと描くことで、より死を意識させる撮影もこの時代としては斬新。時代から取り残された男たちの滅びの美学も日本人好み。現代から観ても十分楽しめる水準の演出と物語だった。
取り締まる側に寝返ったかつての仲間との確執。
最期に二人の対決があるのかと思えばそいうわけでもなく、
取引相手との壮絶なる撃ち合いで幕を閉じていく。
西部劇が時代のニーズと合わなくなっていった最後の作品。
似たような西部劇や現代劇もあるが、見終わった後の無常観は飛び抜けている。
90点。