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山の郵便配達評論(8)
古き良き中国みたいな、Chineseの本質はこちらで在って欲しいな。
親父さん激渋かっこいい、次男坊も賢き犬なり。
親父を背負えるようになって一人前とか、、そしたら俺はまだまだや
老いた父親に代わって、若い息子が郵便配達の職を継ぐ。中国奥地の山間部の村々を、毎回3日かけて周り、郵便物を集配する仕事だ。父親にとっては最後の、息子にとっては最初の旅。
いく先々での出来事や、道中の会話を通して、離れていた二人の心が寄り添っていく。私もまた一人の父親であり、一人の息子である。鑑賞しながら様々な思いが交錯し、川を渡るシーンでは涙を禁じ得なかった。
それにしても、舞台は1980年代なのに、徒歩で郵便物を配達していたことには驚いた。バイクぐらいは使っていてもよさそうなのに。
背景となる山河はとても美しい。おそらく何百年と変わっていない風景なのだろうと思う。
風土の中で家族の情愛を描くのは、『初恋のきた道』も同じだ。
旅の途中、息子は何度か「人はなぜ山に住むの?」と尋ねる。が、父親は答えをはぐらかす。
なぜ人は不便な場所から離れようとしないのか。生まれ故郷だからか。自分のアイデンティティがそこにあるからか。
逆にまた、便利であることがそれほど幸福だろうか。不便で厳しい暮らしの中でこそ感じられる幸福もあるのではないか。
そんなことをとりとめもなく考えてしまう問いだ。
作中、「幹部」だの「委員会」だの、いかにも中国らしい言葉が台詞に混じる。親子の情愛や美しい自然にそぐわない言葉のように感じた。
家族と老いと過疎化と…全て避けて通れない、現実はこうなんだよな、という話が丁寧に切々と描かれていてしんみり。
特に孫が都会に出たおばあさんの話は泣けた…。外に出たものは残された者を気遣う余裕もない日々を送り、残されたものは日々出ていったものを気遣い心配する、と。
そうだよな…と痛感。