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ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム評論(3)
後期はビートルズになるが、彼らにも大きな影響を与えたらしい。
あの歌い方はイマイチ好きになれず、カバーのほうが好きだった。
ノーベル賞騒動も彼のイメージ通りで、さもありなんという感じ。
一番好きな曲は「ライク・ア・ローリング・ストーン」。
スコセッシが手かげたこのドキュメンタリー映画の舞台は60年代。学生運動やら人権運動、キューバ危機の時代ですね。そんな中で保守的な音楽が流行っていたので、当時のディランの音楽スタイルやあの風貌、そしてメッセージはさぞかし衝撃的だったと思います。そして、音楽で世界を変えると叶わぬ夢を多くの人が描き始めた時代だったのでもないでしょうか。その流れをつくりカリスマへと一気に駆け上がったディラン本人からの独白は、そんな自分の読みを裏付けた気がしました。
それと、資本主義は多様性がポイントであるといことがよく解りました。「ボブ・ディラン」という当時でいう「カウンター・カルチャー」でさえも取り込む資本主義は、ある意味懐が深い。そして、それを一番自覚してたのはディラン本人だったと思います。どこか道化的なディランは、ようはセンスが天才的なだけだったのです。
世代が違うというのが一番の理由ですが、声も単調なメロディもあまり好みでなく、じっくり聴いたことがありませんでした。
Woody Guthrieらを崇め、フォークという形態を使って詩を高らかに歌い始めた彼が、プロテストシンガーとして時代に持ち上げられていく前編。エレキを取り入れ商業的ロックと見られて批難されていく後編。Dylanの頭の良さ、神がかった才能もよく分かりました。歌詞もコメントも奥深いですが、インタビューの切り返しも上手いです。取り巻く関係者達のコメントもとても興味深かったです。
60年代は「主張によって評価が下る」時代。物理的不足、不平等、不満に満ち溢れた社会。受け身になるなと訴えるフォークシンガー達。
物質的に満ち足りてきた現代は、どれだけ周りに「溶け込めているかで評価が下る」ような所があります。"My name is Blurryface and I care what you think." (Twenty one pilots) なんて当時では出てこないだろうな。でも人種差別や宗教間の対立といった社会問題はより複雑化しているような。
John Jacob NilesとJoan Baezの歌声が素晴らしかったです。"Love is just a four letter word"!