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ザ・バンク 堕ちた巨像評論(20)
実際に存在したルクセンブルグの国際商業信用銀行(Bank of Credit and Commerce International, BCCI)の、資金洗浄や武器取引等の数々の不正取引事件を基に作成された作品だそうだ(英語版ウィキペディアより)。ケイマン等海外の一部の地域には、表には出せない事案を積極的に取引する金融機関が多数存在するというが、この作品に登場するIBBCもそのような銀行の一つである。日本の商業銀行とはかけ離れた、そのような不正取引を業務の中心にしていたらしいその仕事ぶりに驚かされる。不正取引のために殺しも含めた手段を選ばない強引さと、それを日常業務として手馴れた様子で組織的にこなしていく姿勢に加えて、武器商人と国家というこの銀行の取引先が、闇の深さを示している。そのような世界を少しずつ暴きながら垣間見せてくれるのに引き込まれた。
でも確かに世界における麻薬のような地下経済や武器取引の規模の大きさを考えると、このような銀行の存在が世界中に必要とされているのは頷ける。この銀行を捜査するということは、銀行だけでなくその銀行を利用している国家をも敵にまわすということにもなる。そのような巨大な敵を相手に命懸けの捜査をする捜査官の姿が、張り詰めた冷たい空気の中で描かれる。その演出が洗練されているし緊張感が途切れない。主要登場人物以外でも、冷静・冷徹なコンサルタントと、冷戦の終わりとともに人生を失った大佐の二人の脇役二人も存在感があった。
それにこの映画、映像が良い。欧州とニューヨークにおける、都市と建物と室内の空間を上手く物語の背景に使った、美的感覚に優れた重厚な撮影手法に唸らされる。グッゲンハイム美術館を穴だらけにするのはよく撮影許可がおりたなと思ったら、ウィキペディアによるとこちらはそっくり同じものを作ったのだそうだ。
途中まではさんざん引っ張られたが、行き詰った後の突然の結末は、残念ながら強引だし平凡だった。それまでは良かったのだが、やはり国家の姿すら背後に見える巨大組織を相手にするには、個人では荷が重かったか。銀行がその後どうなったか、もう少し言及があっても良かったのではないか。それとニューヨークの銃撃戦、あんなに派手にやっては事件が明るみに出てしまってまずいのではないか。私ならばもっとこっそりとやる。とても楽しめたが、そのあたりが惜しい。
なんとも無力になる作品。
救われない。
でもきっとこれが現実。
大手銀行の国際犯罪を捜査するインターポールの男の話。
インターポールには逮捕する権限がないという事がここまで影響するのかというくらいもどかしくなる内容です。
オチもスッキリしない終わり方をします。
しかし、私はそういう終わり方をする映画がとても好きです。
良くまとまっていて面白かった。結局、ブラックマネーの還流は変わらず、首が置き換わっただけか? ラストの主人公のアップは、解決できない大きな壁を感じた苦悩に見えた。
グッデンハイム美術館の銃撃戦は凄い。レプリカが本物そっくりで、分かっていても穴だらけになってドキドキしてしまう。この銃撃戦だけでも見る価値あるか。