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敵こそ、我が友 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生評論(1)
そして、この本作で扱われる友情とは、「敵の敵は我が友」という世界です(これも実話)。
内容は:
1、ナチス将校クラウス・バルビーは、ユダヤ人の子供40人も虐殺したことのあるナチスきっての残酷非情な人間である。
2、終戦後、彼は戦犯として捕らわれるはずだったが、冷戦をにらんだ米国の意図で、ソ連を知り尽くしたバルビーをかくまうようになる。
3、ブラジルに亡命したバルビーは、政治家と隠密な関係を築き、政治結社を作る。
今は亡きバルビー氏がナチスの時代を生きたことについて一言、「人間は常になにかに従属していなければならない」という冒頭が印象的。そして戦争が終わって彼が選んだのは、罪の償いではなく、生き続けることだった。
生き続けるという選択は聞こえはいいですが、それは道理に反した選択肢のみが残されていたならば、それを自らの意志で選ぶということだってあります。そして、人はろくなことしか考えなくなることだってあると思います。
バルビー氏は結果的に悪行ばかりの人生でしたが、恐らく彼に足りなかったのは生きること以外に考えなければならないことを考えなかったことなのでしょう。時代を闊歩したように見えるバルビー氏は、それゆえに実は心の身動きが取れなくなってしまったのだと。
しかし、本作はバルビー氏に焦点をあてた上で「人間」と「歴史」などなどについて考察した作品だと思います。社会生活を送っていくにつれ七面倒くさくなるテーマこそ、実はじっくり考えることこそが大切なのだ。そう思いました。
それにしても、フランスがつくるドキュメンタリーってほんとリアリティがあります。