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亀 プロット 日本 12月06日 2008 台灣上映
亀は意外と速く泳ぐ プロット 日本 07月02日 2005 台灣上映
亀も空を飛ぶ プロット イラク・イラン合作 09月17日 2005 台灣上映
ヤギと男と男と壁と プロット アメリカ・イギリス合作 08月14日 2010 台灣上映
風と樹と空と プロット 日本 07月12日 1964 台灣上映
君とひととき プロット アメリカ 01月01日 1900 台灣上映
アキレスと亀評論(15)
「飢えてる人の前におにぎりとピカソの絵を置くどっちを取ると思う?」とか。監督の「お百姓さんが一番偉い」「オイラの絵は売らない」という発言からも、芸術に対する視点に敬愛が感じられます。
「アート」「芸術」に対する憂いや憧れがふんだんに込められた作品。ラストシーンは、すごい。アレは凄い。
冒頭、古代ギリシャの哲学謎?に見入ってしまった(爆)
たけしの映画は海外では評価が高いが(と自分で言っていたし)
私はあんまり彼の映画は好きな方ではない(ナンとも痛くて)
今回は暴力的な描写が少なく(大杉蓮の叩き方は痛そうだけど)
内容も時代を踏んで分かりやすい。やはり死人は多かったけど。
何といっても、たけし本人がいかに芸術家なのか見える作品。
作品中の挿入絵画も、自分で描いたものばかりだそうだ。
いかにも子供の絵具画~ピカソやポロック、ウォーホルもどき、
多彩なゲイジュツの才能がいっぱいに広がった作品群だった。
芸術家というと一般人からかけ離れた変人ばかりを想像するが、
それをもっと皮肉ってバカバカしく描ききっているのが笑える。
これを踏まえれば、当のたけし本人が倉持真知寿と同化して、
世間の評価など気にせず(気にしているように振る舞ってるけど)
自分のやりたいように伸び伸びと生きている男という気がする。
彼はやはり、その筋の人間なんだ(爆)
ところがそういう男に尽くす女は大変だ(+o+)
樋口可南子は、まさに適役♪と思わせるくらい上手い!
こんな奥さんはそうそういないだろうし(いたらいたで怖いし)
亭主の提案に楚々と従い、文句ひとつ言わないところが笑える。
二人のやりとりが、かなり真剣でブラックで物哀しい。
加えてあの娘の可哀想なこと!こういう輩は子どもなんか
持っちゃダメだよ~ってかムリだろ~と思わせる展開だった。
ホントにこのヒトの描き方は潔い(爆)
怪しい画商が、伊武雅刀から大森南朋に引き継がれても、
やっぱりあくどい感覚商法は変わっておらず(おそらく)
売れない絵を売りつくす手腕は変わっていないみたいだ。
でもそれをいちいち信じて、バカな絵(ゴメンね)を描き尽くす
真知寿夫婦が哀れでこっけいで、あきれて失笑してしまう。
ただ、アキレスと亀の追いかけっこを何に比喩したのかが
分かってくるラストで、なぜだかジ~ンとしてきてしまうのだ。
死んでも死にきれないアホなゲイジュツ家を
20万円の空き缶で取り戻せる妻を、私はバカにできない。
価値観がモノをいう夫婦の絆を潔く見せつけられた気がした。
でもこのラスト、彼自身の本望ではなかったみたいだ^^;
(彼の感覚はやはりタダものじゃない。好き嫌いは別として。)
今までのどの映画にも当てはまらない魅力がありました。
今回の映画は一人の売れない画家の半生を描いたものですが、
テンポも良く(最初はやや退屈ですが・・・)、笑いどころも多いです。
また所々の演出は、この映画の主人公同様ぶっ飛んでます。
賛否両論あるかとは思いますが、私は好きです。
以前の北野映画のようなシュールさ、現実感、映像美といったようなものは少なくなりましたが、その分北野武の頭の中を覗き込むような不思議な感覚に包まれます。
そして、この映画が素晴しいのは感動やハラハラといった感情を強要していない事にあると思います。
だからこそ映画を見終わった後最後のセリフの意味をずっと考えてしまったのでした・・・。
内容は芸術が何かというよりは生き様な印象なのでたけし好きじゃないとあんまり面白くないかな。
ちょっと救いようのない話だ。誰が悪いというわけでもなくて、強いて言えば悪いのは時代かもしれない。あ、画商もなんか悪いかもしれない。過激な芸術活動ばかりするアホな学生仲間も悪いかもしれない。
画商に絵を見せてボロクソに言われたりするけど、その画商言うことかなかなか正論で、絵を描いてる身としてはグサグサ刺さる。「こんなのだれでもやってるよ」「真似は駄目だけど下手なのはもっと駄目だよ」「ちょっと褒めると調子に乗ってそればっか描くね」「ちょっと狂ってきてるけど足りない」「売れない画家の自画像なんて誰が買うの?」
あと結構人が死ぬ。こんなに人が死ぬ映画だとは思わなかった。親も死に友達の又三も死に芸術仲間も事故や自殺で死に娘も死ぬ(なんで死んだんだ?)。真知寿も自殺未遂を何回かやるがすべて未遂で終わる。死にきれないのを見ているのもしんどい。
最後に迎えに来てくれた妻は幻覚なんじゃないかと疑ってしまったが、本当に迎えに来てくれたらしい。私があなたの芸術を一番理解している、などと言う女は本当は一番警戒すべき存在だけど、相手は売れない芸術家だったのでお互い頑張るしかなかったんだね。