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ご縁玉 パリから大分へ評論(1)
パリ在住の有名チェリストのエリック。彼には自分探しの目的が有った。
以前出会った“ご縁玉”の縁から大分に住むある女性宅を訪問する。
大分の孤児院を訪問するエリックこと“ケンちゃん”彼自身がベトナム戦争がもたらした孤児だけに、バッハの静謐な調べと共にホールに漂う共通な一体感が感動をもたらす。
それはホスピスでの末期患者の人々との“ご縁”とて同じ事。
おそらくはこれで最期になるであろう“ご縁”では在るが、「生きる力を与えて貰った」と話す患者の人達。
彼との“ご縁”からこのドキュメンタリーが生まれるきっかけになったのが山田泉さんとゆう、彼女自身がガンの治療に苦しんでいる先生。
授業で「命の大切さ」を伝えて来た彼女の願いは娘の二十歳の誕生日を見届ける事。
今、自分が二十歳の時に着た晴れ着を娘が着ている。それを祝いチェロを演奏するエリック。
この場面では、ラストシーンで彼の姿を捉える映像を含めて、ドキュメンタリーとしてはほんの少し作為的な手法と見えなく無いところでは在りますが感動的な場面です。
驚いたのは、あの無着正恭が住職となって大分で暮らして居た事。
JR宇佐駅には個人的に立ち寄った事が在るのでとても懐かしかったですね。
映画の最後に、「自分探しなんて意味が無かったのかも知れない」と語るエリック。
しかし、彼の○の中にはしっかりと新たな“ご縁に玉”が○られている。
そう、この旅でまた新たな“ご縁”が出来た。
そうやって“縁”から“縁”が広がって行く。もう彼は独りぼっちでは無い。
(2008年12月23日ユーロスペース/シアター2)