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猿ロック THE MOVIE評論(9)
猿の妄想はばかばかしくて楽しいし、芦名星は美人だし、楽しめました。小西真奈美も格好いいし。
ただ、小西真奈美演じる警察署長に関連した背景のスケールの大きさみたいなものは、映画らしいと言えば映画らしいけど、猿ロックの世界とはちょっと合わないんじゃない?って感じです。それよりももっと笑えるシーンを増やしてほしかったなぁ。
また、エンタメ作品としても優れていて、ラストまで一気に駆け抜ける感じです。中だるみが全然なく、常に画面に惹き付ける仕掛けの多い演出。前作『ブタがいた教室』でも、多いに注目したのですが、前田監督はストーリー展開の巧みな監督だと思います。
なにより本作では、恐いくらいに市原隼人が主人公の猿丸耶太郎こと通称サルにはまっています。なんたって、学生時代のあだ名もサルだったそうで折り紙入り。謎の美女篠崎マユミと逃避行を続けるなかで、ホテルに誘われたとき、無邪気にはしゃぎ廻る市原の猿ぶりが、お猿さんそっくりなんです。やはりシリアスな恋愛映画の主演を張るよりも、市原は本作や『ボクチュウ』のようにおバカ一直線な純情男を演じたらピカイチですね。
ただサルは、基本はおバカだけれど、鍵穴に向かうときは、がらりと表情が変わって真剣そのもの。そして物事に筋を通して、約束したことは絶対に破らない律儀さは、ラストに思わぬ感動を呼び込むのです。
女に滅法弱いサルにつけ込み、徹底的に惑わし、利用してしまうのが小悪魔的美女マユミ。サルがメロメロになるくらい演じている比嘉愛未は、魅力的でした。しかもサルの前ぶりっ子しているときと、警察の裏金をせしめようとする裏の顔を覗かせる時とでは、まるで別人のようにがらりと変わるのです。
最後まで、サルを騙していたのか、それとも本心で接していたのか分からない妖しさが逆に魅力なんですね。
サルを二度ホテルに誘うものの、お決まりのように途中でトンズラしてしまいます。それではあんまりにもサルが可哀想(^^ゞ
でも、マユミも良心が咎めたのか、自分のために必至で守ってくれたサルに、お礼のキッスをしていたのです。ホテルで独り眠り込んでしまっていたときなので、残念だけどサルは気付いていません。あとエンドロール途中で席を立った方も気付けなかったでしょう。
ストーリーは、警察女署長が取られた銀行強盗事件から始まります。幼なじみの刑事から銀行の裏口のカギ開けを頼まれたことでサルは、この事件に深く関わっていくのでした。このとき犯人一味に持ち去られたカバンのなかには、警察の裏金と裏金の証拠となるデータがあったのです。
このカバンの入った金庫を言葉巧みにマユミに唆されて、カバンを奪ってしまったことから、ふたりは金庫の持ち主の経済ヤクザと警察の両方から追われる身に。ここから『ゴールデンスランバー』をしのぐ逃走劇が展開します。ピンチに陥ったときの水道管の使い方は、こっちの方が面白かったです。
本作の面白いところは、なんが正義なんだという問いかけるところです。サルひとりが純情なのに、周りを取り囲むマユミも警察もヤクザもののそれぞれ自分たちの欲得や自己保身のために動いている『訳ありの構図』を手際よく説明できていて、とても分かりやすいのです。
その象徴的なシーンが、警視総監の小笠原と署長の水樹の対決シーン。警察の不正を暴くために、どんな汚い手段も選ばなかった水樹に、小笠原がお前は何が目的なんだと詰め寄るとき、水樹がきっぱり「正義のため」と言ってのけるところです。
その証拠をサルから強引に奪い取るときの、サルの「目的の為には、何したっていいのか」という叫び。それは観客に向かって、悪事を暴こうとする水樹の信念に対して、どう考えるべきか、問いかけてくるのですね。
予告編では、女署長の水樹が凄く浮いた存在に見えて、軽薄な作品なんだろうと予見を持ってしまいました。ところがこの美人過ぎる署長には、ちゃんとそんなお飾り署長を作った理由があったのです。
お飾りになりながらも、虎視眈々と上層部を脅迫する材料を入手する段取りを計算していた。そんな二面性ある署長役を小西真奈美が好演していました。水樹役が締まることで、本作がグッと奥行きのある逃走劇となったと思います。
監督のお薦めシーンは、ラストのヤクザに追われたあげくマユミが乗った車が海に沈められたところをサルが助けるシーン。11月の新潟港で撮影されたこのシーンは、結構水温は冷たいなか、吹替えなしで撮影されたそうです。市原曰く、冷たいよりも痛いという感じで、全身が痺れたそうです。
また本作の中では絵本「星の王子さま」のなかの言葉、『大切なものは目に見えない』がキーワードになっています。マユミが持っていたこの絵本を読んだサルは、大感激します。その感動が、以後何度もマユミに騙されても、絶対に信じる信念になっていくのです。ちょっと嘘っぽくなる設定だけど、演じている市原のマインドがピュアなので、凄く納得させられました。市原本人も「星の王子さま」を読んで、忘れかけていた大切なことに気付かせてくれたそうなのです。そこから王子さまが持つ無邪気さを、サルにも生かそうと思ったのだと述べています。
最後に忘れかけていたピュアな心を思い起こさせてくれる作品でもありました。ぜひこの作品をご覧になって、忘れかけていた何かをもう一度思い出してくれたらと願い思います。
『大切なものは目に見えない』!
TV放送でも楽しんでたけど、料金出してまでと思っていたので、
オンラインで当たってラッキーみたいなw
相変わらずの4人は面白かったし、比嘉愛未さんもよかったけど、
個人的には小西真奈美がカッコよかった。
ホワッとした雰囲気なのに、クールで少し非情な感じもよかったと思う。
思うに、市原隼人って巧いのか下手なのかがわかりませんが、
ルーキーズのような役より、今回のサル役や
ウォーターボーイズの役柄の方が、好感持てます。
何も考えず、楽しめる作品ですが、
映画館で観て!という感じではなく・・。
ファンの方は、大画面いっぱいの市原君を楽しんでもよいのでは。
というところでしょうか。
テレビシリーズは、1度見ただけです。
警察の闇の部分。
やくざとの関係。
よくあるお話。
TVのスペシャル版というカンジですが、猿丸耶太郎が、なんともカワユイ。
どうやら、サルの父親は、10年前に失踪していて、母親もいないみたい。
でも、古き良き商店街の中で、幼馴染の気のおけない親友達や、近所の住人達と、仲良く暮らすサル。
開けられない鍵はない。
約束は絶対守る。
他人は疑わない。
単純。
女好き。
考えるより行動する。
こんなに素直でまっすぐな江戸っ子がいるなんて・・・ 作品中だとわかっていても、何だか嬉しくなった。
一番大切なものは、目に見えないんだよ。
まゆみちゃん役の比嘉愛未さん、もっとキツク悪魔的でも良かったかな。
警察署長の小西真奈美さん、なんだか似合ってなかったな~。
残念です。