「七月と安生」など監督としても高く評価される香港出身の俳優デレク・ツァンがメガホンをとった青春映画。進学校に通う高校3年生の少女チェン・ニェンは、大学入試を控え殺伐とした校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜めて日々をやり過ごしていた。しかし、同級生がいじめを苦に飛び降り自殺を遂げ、チェン・ニェンが新たないじめの標的になってしまう。彼女の学費のため犯罪まがいの商売をしている母親以外に身寄りはなく、頼る人もいない。そんなある日、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年を目撃し、その少年シャオベイをとっさに救う。優等生と不良という対極的な存在でありながらも、それぞれ孤独を抱える2人は次第に心を通わせていく。「サンザシの樹の下で」のチョウ・ドンユィがチェン・ニェン、アイドルグループ「TFBOYS」のイー・ヤンチェンシーがシャオベイを演じた。第39回香港電影金像奨で作品賞、監督賞、主演女優賞など8部門を受賞。第93回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネート。
少年の君評論(20)
脚本、演出、描写、音楽全て良かった!!
まず受験戦争の激しさが強烈。担任が軍曹のように学生の上に君臨し、大声でアジる。実際受験生達は進学先が人生を決めてしますので心のどこにも余裕がなく、その精神の歪みは容易に凄惨な虐めを生み出すが、虐められている同級生に対して同情することもない。そんな絶望が横たわっているので、フー・シャオディエが自殺する前にチェン・ニェンにこぼした疑問詞がとてつもなく重い。最下層に暮らす弱者であるチェン・ニェンとシャオベイはそれぞれの手段で前向きに生きようとするが彼らを捻り潰そうとするように様々な苦難が訪れ、彼らが遂に社会に向けて牙を剥く瞬間の切なさが胸に突き刺さります。孤独な二人が力づくで未来を切り開こうとする様はスウェーデンの吸血鬼映画『ぼくのエリ』のような観る人によってバッドエンドにもハッピーエンドにも見えるもの、取ってつけたようなエンドロールがその無情さを微かに煽ります。チェン・ニェンを演じるチョウ・ドンユィの今にも消えてしまうそうな透明感と、シャオベイを演じるイー・ヤンチェンシーが全身から醸し出す痛々しい純粋さが印象的。ずっしりと重いのに鼻の奥がスッとするような清々しさも感じる血塗れの青春譚です。
主演の彼女、いくつなんでしょう。中学校のイジメ問題と思って見始めたら大学受験の年齢なら高3、そして冒頭の登場シーンは立派な女性だし。
ストーリーは陰惨で問題をいくつも内在しなぜか惹かれあっていく2人、(と刑事さん)。
結末に辿り着くまで何度も予想を覆され。
この事件が実際に日本であっても検証をしっかりすれば殺人罪には問われはしないんじゃないかと期待しますが。
けれどそれぞれの演技はあふれでていて無理して出しているわけじゃない、それは居心地良かった。
私自身いじめが身近になかったとても平和な環境だったので、いじめを防げないのかとさえ思ってしまう。
ここまで守られるのはまれだと思うけど。
いじめられても文句もいえないのは、弱いからではなく、もっと仲良くしたいからなのか。
いじめについて共感はできなかったけれど
主人公が美男美女で、強く引き寄せ合う愛が羨ましい
「少年の君」というタイトルから、主人公から見て相手は少年なのかと思ったら同世代同士で、おそらく犯罪を犯しても未成年という意味だったのか。ややこしい。
いじめを受けている時にスマホを使って証拠を掴めばいいのになどいろいろ思ったが、主演女優の透明感は良かった。
良い作品だったんだけど、主演の一人である国民的アイドルを使って、「いじめの問題に対して、国ではこんな対策を立てています」みたいなラストは、何なんだと思った。