「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督によるオリジナル脚本作品で、古田新太主演、松坂桃李共演で描くヒューマンサスペンス。女子中学生の添田花音はスーパーで万引しようとしたところを店長の青柳直人に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれて死んでしまう。娘に無関心だった花音の父・充は、せめて彼女の無実を証明しようと、事故に関わった人々を厳しく追及するうちに恐ろしいモンスターと化し、事態は思わぬ方向へと展開していく。悪夢のような父親・添田を古田、彼に人生を握りつぶされていく店長・青柳を松坂が演じ、「さんかく」の田畑智子、「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節、「湯を沸かすほどの熱い愛」の伊東蒼が共演。
空白評論(20)
中学3年生女子です。受験の作文練習として感想を書かせていただきます。日本語変なところたくさんあるかと思いますがどうか温かい目で見ていただけると幸いです、、。
映画「空白」大変素晴らしい映画でした。観終わった後の満足感本当にすごかったです。
しかし、いっしょに観に行った父と映画の感想を語り合っていると、どんどん桃李くんに対するモヤモヤが出てくるのです。私と父が特に違和感を覚えた二点を紹介します。
まず一つ目、万引き未遂をしたカノンを倉庫へ連れて行ったあと、2人のやりとりがあったはずなのになぜそのシーンを映さず、カノンが逃げるところだけ映したのか、というところ。
二つ目、古田さんが桃李くんに謝りに行った時、宥める古田さんをおさえてずっと謝っていたところ。この二点です。
なぜこの二点に違和感を覚えたのか。
まず、劇中で桃李くんは昔、性犯罪で捕まったことがあると言われていましたよね。「ロリコン」などとも言われていました。しかしその昔の真相は全く語られていませんでした。
あくまで私たちの考察ですが、一つ目の倉庫のシーンを映さなかったところ。そこで桃李くんはカノンに対して、そういった行為をしようとしようとしたのではないのでしょうか。それを嫌がって逃げたカノンを追いかけるところだけを映した。つまり桃李くんが昔、性犯罪で捕まったことがあるのは本当だった、ということです。二つ目も同様にそういった行為をしてしまったが為、劇中で桃李くんはずっと謝っていたのだと思いました。
そんなモヤモヤが残ったものの、やはり素晴らしい映画だと感じます。古田さんの前半と後半の表情の変わりようや、映画に出てくる人間の感情、言動が非常にリアルで気持ち悪いところ。油絵を始め、娘の漫画を読み、娘を理解しようとし始めたところなどとても素晴らしかったですし、涙なしでは観れませんでした。また、私は父子家庭なので、より感情移入して観れたと思います。(関係は映画と真反対ですが笑)
もう一度観たい作品ですし、誰しも一度はみるべき作品だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
漁師で気性の荒い父親。
気が弱そうで生気のないスーパーの店長。
タイトルの意味ですが、娘が店長に捕まりスーパーから逃げ出すまでの空白の時間の事だと予想していたのですが、事故が起きてからその事実と客観的に向き合えるまで期間の事だったようです。
観ていて本当に辛かったんですが、古田新太が徐々に他人に優しくなっていく姿に泣かされました。
起こりうる問題ですよね、それも加害者にも被害者にもなりうる。怖い事ですね。関わった人間の誰もが振り回される傷つき、疲弊し、死に至る。良い事は何もありませんね。マスコミも怖いです。
松坂桃李はとりたたて善人でも悪人でもない、ごく普通にどこにでもいる、中身の無さげな凡人で、とりわけ家族思いでも、従業員思いでもない。誰とも関わることなくひとりで居たい人。所謂周りとどう折り合ったらいいのかわからない小心者なのだ。
わからないもの同士が各々、現実とどう折り合ったらいいのか模索し続ける様はとても重苦しく呼吸が荒くなる。
だれが被害者で誰が加害者なのか渾沌としてわからなくなってきて・・・
100%の悪人はいないし、100%の善人もいない。
本作は人間という極めて不完全な存在を露呈させた佳作である。