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プロット
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スピリットウォーカー評論(4)
さて本作、ユン・ゲサンが演じる主人公の男(便宜的に「I」としておく)の精神が、12時間ごとに違う人間の身体に乗り移るのだが、精神が別人の体に入っていることを映像で表現する手法にややクセがあるというか、従来あまり使われてこなかったスタイルで観客に提示する。「I」が鏡やガラスなどに映った自身の鏡像を見ると、そこにはユン・ゲサンではない俳優が映っている。これは問題ないのだが、「I」の精神だけが別人の肉体に次々に乗り移っていくのに、観客が目にする乗り移った先の外見も7割か8割がたユン・ゲサンのままなのだ。残りの2割、3割で真の肉体の外見(つまりユン・ゲサン以外の俳優)を映すのだが、その切り替えがかなり恣意的に感じられてしまう。作り手は何らかの法則性を持たせているのだろうとは思うが、観る人によっては混乱するか、常に頭の中で「彼は『I』の姿に見えているけれど本当は別の外見なのだ」と変換しながら話を追わなければならないだろう。
そんなわけで、新趣向とも言える憑依系キャラクターの見せ方にどうにも馴染めず。12時間で新しい身体に乗り移る理由や、乗り移られる人物たちの共通点も一応は明かされるが、さして深みはない。ユン・ゲサンのスピーディーなアクションは素晴らしいので、ファンなら観て損はないだろう。
『犯罪都市』ではマ・ドンソクの個性が爆発したような映画だったけれどもその中でもマ刑事と敵対する若い朝鮮族ヤクザのチャン・チェンという残忍を絵にかいたような役を演じていたのが、今回の記憶をなくすSIS諜報員のイアンを演じていたユン・ゲサン。
髪型自体も違うけど同じ人とは思えないくらいの役作りをしているし、この人のアクションはすごいの一言... 日本映画のガンアクションは発砲音とか発射された弾丸だったり、ハリウッドと大きく違和感があるけど韓国は見て気持ちがいいくらいなアクション・シーケンスとなっている。
中盤までは何が何やら謎だらけの話の展開と掴み切れない内容だったけれどその点は見ていると謎解きもしっかりとストーリーに盛り込んでいるので見易い映画と言えるかもしれない。
雰囲気的にはこの映画、『スター・トレック』の艦長役を演じていたスコット・バクラのもう一つ彼を有名にしたゴールデングローブ賞やエミー賞を受賞している90年代の連続テレビドラマ『Quantum Leap(タイムマシーンにお願い)』に話の内容が似ている。そのCBSのドラマは一話完結型のスタンドアローン形式で時代の名もなき人々を助けるとリープを繰り返すSci-Fiドラマとなっていた。
TBSで放送されたものはグロスで番組を買わなかったのか、彼が次にリープするときに発するセリフ「OH! boy!?」をカットする体たらくなことをしていたのでいただけなかった。
この映画を見ていて韓国映画って素晴らしいなぁと思えるのは悪役のSIS隊員の中に女性も数名含まれていて決して男性陣に引けを取らない切れのある格闘アクションをこなしているところが挙げられるかもしれない。
恋人役のイム・ジヨンとそのスタントの女性と髪型が似ていたので少し見分けがつかないところもご愛嬌ということで...?
2018年頃が韓国映画が一番面白かったピークで、ここ2年ぐらいはストレスを感じる事の方が多かった印象があります。が、コレは久しぶりに来ました。「魔女 Wichita」系のミステリー仕立て。アクションそのものは地味で、謎解きパートも雑っちゃー雑ですが、目の付け所がオモロいのと、タメのない合理性無視のスピード感が、韓国らしくて楽しかった。
まぁ、ドラッグで心霊現象が起きるのはぶっ飛び過ぎだけど、そこはツッコミ入れずに受け入れるとしてw
ラスト。帰って来たのは誰?みたいな「意味深」を狙ってます?それとも、ストレートな結末でハッピーエンド?この、殆ど意味の無い捻りが入る所も韓国やなぁw
って事で。
つなぎ止めるのが最初に出会ったホームレスのおじさんで、いい感じにごうつくばりでお人好し。
色んな人に憑依する度情報が蓄積され、全体像が見えてくるのだが、それが結構ややこしい。でも、馴染みのない俳優さんばかりでも顔に特徴のある人を並べているのでそこは混乱しにくい。
キャスティングだけでなく、ストーリーの流れもアクションも位置関係も明確で、最後まで引きつけられたまま見られる。
ラストは曖昧だが、ハッピーエンドと見ていいんだろうなあ。面白かったです。