「かもめ食堂」の小林聡美が主演を務め、過去を抱えながらも今日を明るく生きる女性に訪れる小さな奇跡をつづったヒューマンドラマ。「at Home アットホーム」の安倍照雄によるオリジナル脚本を基に、「愛を乞うひと」の平山秀幸監督がメガホンをとった。小さな港町で暮らす五十嵐芙美は、気心の知れた友人たちと他愛のない時間を過ごしたり、歳の離れた小さな親友・航平と遊びに出かけたり、車の運転中に隕石がぶつかるという信じがたい出来事に遭遇したりと、楽しい毎日を送っている。しかし彼女がひとりで暮らしているのには、ある哀しい理由があった。ある日、彼女は町に引っ越してきた男性・篠田吾郎と運命的な出会いをする。芙美が新たに出会う男性・篠田を松重豊、友人たちを平岩紙と江口のりこが演じる。
ツユクサ評論(5)
海辺の小さな町でのクスッと笑える日常と人間模様、出会いと別れ、新たな恋の芽生え。
切なくもほっこりと心温まる作品でした。
なんと言ってもあの停電の演出、最高でした!
もういい年だからと諦めてしまう事が多いけど、幸せになる為の一歩を踏み出す勇気をもらえた映画でした。
出演者を見て、好きなタイプの邦画かもと思っておりましたが、当たりでした。
やはりこの手の出演陣はいい味を出してくるなと、つくづく感じてしまいました。
もう全てのキャラが魅力的!素晴らしい脚本&演技で、とても好きなタイプの作品でした。好きな落語家さん達の出演も嬉しい!舞台となる港町の雰囲気も素敵で、のどかで美しい西伊豆に行きたくなりました。
前々から興味があって、ツユクサのアカウントをフォローしてメールアドレスを登録したら当選しました。
当然のごとく「ネタバレは禁止」ということなので軽くいきます。
テアトル梅田やシネリーブル梅田等でよく予告編が流れていたのですが、「東京テアトル系列」みたいです(2022年だと、「私は一体なにと戦っているのか」(?)だったかも、この系列)。
この映画とテイストはやや似ているかな…という印象です。
地球に住んでいる人に(小さい)隕石がぶつかるという天文学的な経験をした主人公(この映画の主人公は誰に取るかは微妙ですが、五十嵐芙美さんでしょうね)や、彼女を取り巻く知り合いと話が進んでいきます。
ところが彼女は諸般の事情で一人暮らしであり、それには過去の問題がありました。あるとき、その一人暮らしで住んでいる町に引っ越してきた人がいて、その人と奇跡的な出会いをするのですが…。
※ (参考) ツユクサにも色々な種類がありますが、江戸時代に入ると友禅などの絵具として用いられています(青色の色紙として)。
全般的にほのぼのと進む日本映画の特徴そのままで、アクションシーンもなければ目を見張るようなシーンもない(恋愛シーンもないわけではないが、ごくごく最小限)、平坦に過ぎるというのはあるのかもしれませんが(それで引いても減点0.1程度に過ぎない)、東京テアトル系列さんの映画はこの傾向があり、そういう映画だということを認識した上で見に行く限り、そこまでの減点要素ではないと思います(どう解しても4.9にしかならず、四捨五入で
5.0まで切り上げています)。
小林聡美が演じる主人公・芙美が運転している車に隕石が衝突するという序盤のファンタジー(とはいえ1億分の1の確率で起きると劇中で説明される)はあるものの、それ以外は西伊豆の小さな港町を舞台に、平岩紙、江口のりこが演じる友人たちとの一見ありふれた、しかしそれぞれに感情の起伏を伴う日常が穏やかに流れる。そして、ツユクサの葉で草笛を吹くのが得意な男性・篠田(松重豊)と芙美の出会い。この二人の関係もほのぼのと進むが、一方でそれぞれが抱えた過去や葛藤があり、だからこそ応援したい気持ちが高まるのかもしれない。
めったにない隕石遭遇と、ありふれたツユクサという、好対照な二つの要素。これらが無理なく物語の中に同居している点も、本作の妙味だろう。
行き止まりに思えた道も、よく見回すと別の横道に繋がっている曲がり角だった。
そんな人生の2ターン目の戸惑いや喜びが、心にスッと入ってくる。
見事な脚本。素晴らしい演技。真摯な演出。
邦画の大好きなところを全部集めたような映画でした。
航平くんの元気な語り口が、映画のトーンを一段明るくしています。
てっきり、子供の目線から主人公の芙美を観察しているのかと思いましたが、ガッツリ物語の中に入り込んでます。
まさか初恋のくだりが、こんな風に影響してくるとは!
それで言うと、まさかインコがこんな風に影響してくるとは!笑
主人公の芙美を中心にはしていますが、芙美を取り巻く人々のドラマも描かれます。
最小限で無駄のない脚本が本当に素晴らしい。
そして、その最小限のエピソードの見えない部分…氷山の下に隠れている部分を最大限に膨らませて見せてくれる名優たち。
小林聡美さん、松重豊さん、平岩紙さん、江口のりこさん、渋川清彦さん。
ちょっとしたニュアンスに込められたユーモアとペーソスがたまりません。
子供の頃、50歳っておばあちゃんだと思っていました。
でも、人生100年の時代では折り返し地点にすぎない。
人生のどん底から少しずつ動き出した心が潤っていく。距離が縮まるトキメキや、誰かと寄り添う心地よさ。
いい歳の大人でもキュンキュンしちゃうんだなぁ。これが。
航平君と対に描かれる、人生2ターン目の初恋。
靴下を脱ぎ捨てるシーンに胸が詰まって泣けました。