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FLEE フリー評論(4)
本作の主人公は、諸事情(映画の中で具体的に明かされる)により本名を明かしていない。映画の中ではアミンという仮名が与えられているが、本人の特定につながる可能性のある周辺情報もぼかすか、事実から変更されているようだ。監督のヨナス・ポヘール・ラスムセンは、15歳の時に自身が住むデンマークのある町にアミンがやって来て以来の友人だったが、アミンが過去の過酷な体験をラスムセンに明かしたのはずっと後のことだったという。ラスムセン監督は友人の半生をドキュメンタリー映画化するにあたり、匿名性を担保するためにアニメーションで語ることを選択した。しかも、同じタッチのアニメで作品全体を語るのではなく、アミンの記憶に基づき客観的に再現するシークエンスは2Dのカラーアニメで、トラウマに結びつくような悲惨なシーンはモノクロ調の抽象的なタッチで描き分けられ、さらに時代時代の統治者や街の風景などが実写のフッテージで挿入される。
アミンとその家族が欧州へ逃れるために体験したことは、なかなか簡潔に言葉に代えられるものではないが、本作の秀逸な表現手法によって視覚的に“体感”することはできる。多くの人に鑑賞してもらい、難民問題に関心を持つ人、問題意識を深める人が少しでも増えることを願う。
この映画が何処がドキュメンタリーなのかを教えてほしい。
『馬三家からの手紙』のドキュメンタリーを見れば、こんなの卑怯者の映像媒体でしかない。
顔出しの危険を冒さないのはフェイクとしてしかなってはならない。
日本の国営放送が「人権を守る」、一つ覚えのように顔にモザイクをかけるのは事実ではない証となる。
出せないなら商業ベースに乗せた映画作りを断念すべきで、それがどれだけ悲惨な話でも決してアニメで表現するのは覚悟のない、ただのシュプレヒコール的外野からの叫びでしか他ならない。
だから『馬三家からの手紙』と肩を並べるドキュメンタリーというのはやめてほしい。何故なら主人公の孫毅(スン・イ)は映画の撮影後、中国当局の手によって抹殺されたと言われているために...
鎮魂の意味も含めて
素朴な雰囲気で描かれたアニメーションだが、この映画で綴られる人生の壮絶な闘い。しかし、その闘いというのは「力」によるものでなく、長年に亘る「沈黙」で闘ってきたアミンという青年の独白で語られる。
そして、その青年アミンの独白している中で、独白内容にマッチした実写フィルムが挿入されるので迫真の説得力を持つ映画となっている。これも凄い!
アフガニスタンで生まれ育った少年アミンとその家族が日常生活を送っていたところ、タリバンに連行された父親が戻らないため、残された家族は命がけで祖国を脱出しようとする。この亡命が想像を絶する辛苦を要するもの…。
家族は離ればなれになりながらも、青年アミンはデンマークに亡命することになるが、アミンは女性に魅力を感じないゲイであることにも悩む。
そして、………といった「命を賭けた物語」が綴られる。
序盤で流れるa-haの名曲「♪Take on me」で心安らぎ、あの名曲のMusic Video風のアニメーションが描かれたりするあたりは、少年アミンの青春を描いている。これは、その後の運命の過酷さと対比するかのような名場面だと思う。
本当に重厚で見事なアニメーション・ドキュメンタリー映画であったと思う。