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GATE A TRUE STORY評論(1)
広島・長崎に投下された原子爆弾の火が故郷へと帰る。
ドキュメンタリー映画としては冒頭から2台のカメラを切り返したり、ゆったりと移動したりと、若干の“演出”が見受けられるのは気になるところ。クライマックスの《GATE》場面ではやはりスローモションを多用したりと、どうしても多少の違和感は拭えない。
しかし、それらは場違いかも知れないが、『靖国』と比べて観たら果たしてどう映るだろうか?
『靖国』はドキュメンタリーでありながらも随所に、明らかな“誘導”の“演出”がなされていたが、この作品に於ける“演出”にはドキュメンタリーを逸脱してしまったある種の“高揚感”が監督の内部に在った為と、好意的に観て取れなくもありません。
実際《原爆の火》がアメリカ本土に上陸してからの過程に至ると、奇妙な僧侶達一行は好奇な眼で見られるが、真意を知るに及びみんなが“尊敬”に値する様に気持ちが通じ合って行く。
“それら”は一部の人間を除き全ての人々の願いであり《祈り》なのだから。だからこそ初めの内はアメリカ人嫌いだった宮本僧侶も、寄る土地の人達のボランティア精神の高さと、戦争の愚かしさ・犠牲となった人々を思う意識の高さを知って、最後には明るい笑顔で接している事実にこそ、みんなの《祈り》を素直に感じ取っている。
映画の中では僧侶達一行はただ行脚する事で“その意志表明”をするのだが、その事での内部分裂を映画ではナレーションのみで伝える。
《抗議》は《祈り》とは違う事の事実。
そうなのだ!みんなの《祈り》は《抗議》とは違う大きな波となってうねりを作ったのだった。
だから《抗議》では開かなかったGATEは人々の《祈り》には応えてくれたのだ!
でもそんな中で気になるのは、日本の企業がある種の《風評被害》を恐れて一切の手助けをしない。その愚かさにはがっかりしてしまう。
ドイツ人のハーレー野郎の意見が、世界に対しての最高のメッセージになっていました。
(2008年8月1日 日劇2)