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X-ファイル 真実を求めて評論(17)
連邦捜査官の失踪と言うのは、アメリカにおいては大事件であるのは確かですが、緊急とは言え、その程度の出来事でモルダー・スカリーのコンビが引きずり出されると言うのは、ちょいと疑問。まぁ、冒頭で、モルダーが渋るのも良くわかります(笑)。と、いきなりダメ出しから入ってしまいましたが、いまやFBI に追われる立場になってしまっているモルダーにしてみれば、当然の事かもしれません。
スカリーも、FBIを離れてから、元々所持していた医学の学位を生かして医師をしているのですが、医師として研鑽を積むのに重要な時期に、FBIで勤務していた人物が、その後の医学の進歩に遅れずに医師として勤め上げられるものなのでしょうか? ちょっと不思議に思いました。でも、それができると言うところが、スカリーの頭脳が明晰なところなのかもしれません。
ある意味ダメ出し二連発の状況ですが、それはこの作品がダメだと言う意味ではありません。TVシリーズ当時のX-FILEの不思議さに比べると、ちょっとその不思議さ加減は低いですが、解決困難な難事件(そして猟奇的事件)と言う観点では、十分にX-FILEの世界を再現しています。
TVシリーズと決定的に違う点は、モルダーとスカリー二人の関係ではないでしょうか。TVシリーズのときは”ただの同僚”と言うところを二人とも意識して、ギリギリキープしていたはずですが、FBIと言う組織を離れ、自由になったからなのか、二人の関係はより親密なものに進化しているようです。まぁ、あれだけ濃密な関係を続けていれば、当然なのかもしれませんが。
この作品は、X-FILEの摩訶不思議な世界を楽しむのは当然ですが、それよりも、モルダーとスカリーの二人の今を確かめると言う意味合いが強いかもしれません。
TVシリーズの『X-ファイル』は一度も見たことがない。ちょっと前まではスルー態勢だったのに、気が変わったのはコンビニで廉価版DVDを衝動買いしたためだ。なにしろ知っていることといえば、不気味でシンプルな口笛のメロディと超常現象を扱っていることくらいだったのです。これも「映画を見ろ」と知らず知らずのうちにビジョンが送られてきたことが原因かもしれません。
ファンでも何でもないのですが、序盤にモルダーとスカリーがあんな関係になってるなんて!と驚かされ、互いに“モルダー”、“スカリー”と呼び合ってたことから、またわからなくなってくる。それでも超常現象を信じるモルダーと否定的なスキナーという設定は変わらず、これなら大槻教授とたま出版社長の韮澤氏が主人公でも面白そうだ。と、鑑賞中に二人の顔を思い出そうとしていたら韮澤氏の顔が思い出せず、彼の顔が現首相の顔になってしまいました(大槻教授に攻撃されてひきつってる顔が似ていたりする・・・)。
終わってみると、「超常現象はビジョンだけ?」と納得できない方も多いのかもしれません。不法臓器移植を扱った、ほとんど普通のサイコ系サスペンス映画の展開で、壮大なVFXなんてほとんどない。しかし、これがホラーファンにとってみれば大満足!現代のフランケンシュタインなどと報道で扱われていましたけど、『死霊のしたたり2』のシリアス版じゃないですか!
そういや、1970年のあたりって、こうしたグロい映像が結構あったような。ホラー漫画でも人間と犬の首を移植したりするのとかあったし、お茶の間でも『キイハンター』で首だけの男が登場していたし・・・ちょうどベトナム戦争で使われた枯葉剤の影響が問題になってから、こうした映像がなくなってしまったのかもしれませんね。
そんなこんなで、従来のファンの方よりホラーファンにオススメできる映画でした。モルダー、ピンチ!女の子、ピンチ!と、やはり「生存者あり」と伝えたくなるクライマックス。“しおりちゃんの笛”が欲しくなった・・・
他のレビューだったり評価はわるいが、途中で観るのをやめようと思う映画ではないし、一作目も借りて観たいと思う作品。
1人1人が考えを持ったり信じたり信じないとかあって少しいらいらしてしまった。