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マイルス・デイヴィス クールの誕生評論(2)
50年代以降のジャズの歴史は百花繚乱で複雑怪奇な世界だ。そのすべてを先入観なく理把握するのは不可能に等しい。
ハードバップからモーダルのジャズへと、ジャズそのものがもっとも輝いていた50s から60sにおいてMiles Davisがそのメインストリームを歩んできたことは紛れもない事実であり、彼の足跡を辿ることはジャズの歴史を概観する意味合いで大いに役に立つはず。
乱暴な言い方だが、彼の存在は戦後落語界の立川談志のそれに似ていて、「彼らの世界」に対する発展の貢献は計り知れないほど多大であり、決してstandardではなものではなく、すべてにおいて唯一無二の存在だ。
映画で気になったエピソードは、Milesのような「大物」でも、白人警官から不当な尋問と暴力を受けていた事実。しかもN.Yで。50s の米国なら当たり前の事実だったということか。
個人的なMilesとの出合いについて。パンクとハードロックにのめり込んでいた高校生の頃、友人から借りたMilesのCD「Kind of Blue」の中身に衝撃を受けすぎて、その日は全く寝つけなかったのを今でもはっきり覚えている。spiritualやfunk、club jazzに趣向が移っても、最後は彼のもとに帰っていく。