前線に送られたトム。一時は一緒に脱走しようと持ちかけたのだが、彼女が楽屋を出たとき、鏡に“I changed my mind.Good luck!”と書き残し去ってゆく。そして、船で一緒だった富豪のベシエール氏(マンジュー)に求婚されるアミー。承諾して婚約パーティを開くが、副官セザールが戦死したというニュースが飛び込んできて、気が気でならないアミー。遠征隊も期間するが、彼の安否を確かめたく、ベシエールと共に前線へと駆けつける。
「あの富豪と結婚するのか?」「I don't change my mind」。借金だらけのトムの小ネタなど、台詞も面白かったりする。そして、2人の交わす二本指での挨拶。机にナイフで刻んだ自分の名前を発見するときのディートリッヒの表情。そしてラストではサハラ砂漠を行軍する部隊の後を追うアミー。ハイヒールを脱ぎ棄てて、黙々と歩く・・・
モロッコ評論(7)
前線に送られたトム。一時は一緒に脱走しようと持ちかけたのだが、彼女が楽屋を出たとき、鏡に“I changed my mind.Good luck!”と書き残し去ってゆく。そして、船で一緒だった富豪のベシエール氏(マンジュー)に求婚されるアミー。承諾して婚約パーティを開くが、副官セザールが戦死したというニュースが飛び込んできて、気が気でならないアミー。遠征隊も期間するが、彼の安否を確かめたく、ベシエールと共に前線へと駆けつける。
「あの富豪と結婚するのか?」「I don't change my mind」。借金だらけのトムの小ネタなど、台詞も面白かったりする。そして、2人の交わす二本指での挨拶。机にナイフで刻んだ自分の名前を発見するときのディートリッヒの表情。そしてラストではサハラ砂漠を行軍する部隊の後を追うアミー。ハイヒールを脱ぎ棄てて、黙々と歩く・・・
ストーリーはたいしたことないけど、ディートリッヒの決めポーズが全ていい!有名なシーンを一つずつ宝箱にしまっておきたいような映画かなぁ・・・あと、マンジューの心の広い性格は安らぐな。ゲイリー・クーパーよりも完全にいい!
この後、二人はどうするのだろう・・・トムが戦死したらどうなるだろうとか、次の街で脱走して二人でカサブランカに行きボガードに助けられてアメリカに行くだとか、他愛もない想像を楽しんでしまった。
いずれにしてもディトリッヒのシルクハットは宝塚歌劇団に受け継がれたけれど、ゲーリー・クーパーのいやらしい物腰はこのころ培われたのだろうと妙な納得の仕方をしてしまった。そう、若年期の男には愛嬌が備わっていたないと役者としては大成しないのだと感じ入ってしまった。大人の恋は面倒なことだらけだけれどホンモノに出会うのだ。その時、どうするのか?
まあ、今夜ゆっくり考えよう。
前作「嘆きの天使」では、
社会的地位を失い、
ヒロインに愛想を付かれた教授の悲劇的最期
を描いたが、
この映画ではヒロインが
相手の社会的地位よりも感情を優先して、
明日をも知れぬ兵士を追う。
女性の男性の社会的地位への
信望の扱いとしては逆だ。
スタンバーグ監督によるこの2作品は
連続しての製作のようだ。
監督はこの2作品セットで、
男女の情感に社会的地位性を絡め、
逆転構図の中で描こうとしたのだろうか。
1930年頃はフランス領となり外人部隊という傭兵が戦っていた
舞台はカサブランカから海岸沿いに南西に350キロ下ったモガドール、現地の貧しい人々が暮らす街にヨーロッパから食いつめたり訳ありの人間が吹きだまる
その植民地経営でフランス本国から大金持ちもやってくる
外人部隊は所詮吹きだまり、兵隊達の過去は何をしていたか知れたものではない
本作はマレーネデートリッヒの出世作として有名だ
見所は三つ
一つ目は彼女がキャバレーでシルクハット姿で歌うシーンで、超有名
二つ目は、ゲイリークーパー演ずる兵隊が部隊と共に街をでて行くシーン
彼を諦めたはずの彼女が外人部隊の鳴らす鼓笛隊の行進小太鼓の音にいてもたってもいられなくなり、席をたった瞬間、金持ちから貰った真珠のネックレスが切れて散らばるシーン
いくら金の力で縛っても、真の愛によって吹き飛ぶことを表現してみせた監督と彼女の演技が合わさった名シーンだ
そして最後は、ラストシーン
今度こそ最後の別れと街を出て行く部隊にふらふらとついて行ってしまうシーン
砂漠の先を進む外人部隊の男を追う現地の女に混じって裸足で追いかける
行進の小太鼓の音が遠ざかり、砂漠を吹き渡る風の音だけがする
このシーンで本作は伝説になったと思う
監督の演出、単なる女に堕ちた彼女の演技のすばらしさ
これこそ映画だと思う
デートリッヒは自分がいい女だと知っている
あらゆる仕草が男の気を引く事を知っている
それはこの役だけではなくて、本人がそうなのだ
他の女はとても彼女にはとても張り合え無いことをたちどころに悟る
演技を超えた説得力がそこにある
そんな女がラストシーンでは蔑みの目で見ていたはずの外人部隊の男を部隊を追いかけてついて行く女達と同じになってしまうのだ
そしてゲイリークーパー
何もしなくても女の方から寄っていってしまう男そのものを演じきっている
しかも、どうせろくな過去を持たないことも
彼女の人生を思い、やせ我慢をして彼女を捨てる
これもまた素晴らしい説得力がある演技だ
中盤少しダレるが、前半、終盤は正に名作
本作はカサブランカ、情婦マノンなど多くの名作に影響をもたらしたと思う